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あすなろ97 チョコレート(過去記事)

2018年3月30日投稿

 

 

 

2009.11号

 

みんな大好きチョコレート。

 

人の好みは様々であるはずですが、その中でもチョコレートは、あまり「嫌い」だという話を聞いたことがありません。

どういうことなんでしょうねえ。

 

チョコレートの原料となるカカオは、中南米を原産とする木の実です。

 

しかし紀元前2000年頃から15世紀までは、カカオの実を粉にして、それを水に溶いたものを飲んでいました。

これにバニラ、ペッパーなどの香辛料を入れて飲んでいたので、苦くて香りの高い飲み物だったようです。

また、水に溶いてはいたものの、カカオには油分が多いためにあまり水には溶けずに、かなり濃厚な液体でした。

また、カカオ特有の酸味もあったようです。

 

赤道付近の国では一般的に、香辛料の強いものを飲食して、汗をかいて体を冷やす食文化があります。

インドのカレーやタイの唐辛子料理がそうですよね。

中南米におけるチョコレートも、やはりそのようなものだったのでしょう。

 

ですからでしょうか、カカオはまた、大変珍重され、貨幣の代わりとして流通した時代もありました。

 

さて、15世紀末に、コロンブスという男が中米を見つけちゃったものですから、そこからは西洋人の侵略が始まります。

そして、スペイン人が持ち帰ったものの中に、カカオの実とチョコレート加工器がありました。

 

スペインの侵略者コルテスとチョコレートとの出会いに関しては、子供の頃に本で読んだことがあります。

それによれば、進軍の途中に出会った現地人から貰った、ということになっていましたが、本当は少し違うようですね。

コルテスがアステカ王国を訪れたとき、国王から客人にふるまわれた高級飲料、というのが真相のようです。

 

ところでこの頃、それまで苦い飲み物だったチョコレートに、砂糖を入れる「発明」がなされています。

ですからスペインが中米を征服したころには、チョコレートは比較的飲みやすい味になっていました。

 

スペインにおけるチョコレートは、暖かい飲み物として普及します。

赤道直下の中米と比べると、スペインは「寒い地域」だからなのかもしれません。

しかしこの飲み物は、スペイン上流階級だけの「秘密の飲み物」であり、およそ一世紀の間は門外不出でした。

 

しかしその後、フランスのルイ13世がチョコレート好きのスペイン王女と結婚したため、フランスにもチョコレートがもたらされることになります。

 

さらにその息子のルイ14世も、同じくチョコレートの好きなスペイン王女と結婚します。

こうやって、スペイン王家からヨーロッパ全土へと、チョコレートが浸透していくことになります。

 

そして1828年、オランダのバンホーテンが、カカオからココアバターを分離する方法を発明します。

さらにその二代目は、アルカリを加えることによって酸味を無くし、水に溶けやすくします。

これにより、それまで油分でドロドロの液体だったチョコレートは、お湯に溶けたさらりとした飲み物になりました。

バンホーテンとはもちろん、有名ココアのブランドの、あのバンホーテンのことです。

 

これがイギリスに伝わると、今度は牛乳が加えられ、夕食後の楽しみとして普及します。

アフヌーンティーとは別のポジションに収まったわけですね。

紅茶を飲む喫茶店のように、チョコレートを飲むチョコレートハウスなるものが流行し、大衆化していきます。

 

1847年、イギリスにて、それまで取り除くだけだった油分のココアバターを、ココアパウダーと合わせて加工して、「食べるチョコレート」を発明します。

そして1876年、今度はスイスで、粉乳を加えた「ミルクチョコレート」が発明されます。

ここからようやく、本格的な固形チョコレートの歴史が始まるのでした。

 

国産チョコレートの第1号は、1878年に米津凮月堂によって作られました。

ただしこれは外国産チョコレートを加工した物で、カカオ豆からの製造は1918年、森永製菓によるものが最初です。

そういえば、「チョコレートはめ♪い♪じ♪」というキャッチフレーズがありますけど、元祖は森永じゃねえか。

何か、うまく騙された気分だわ。

 

先に書いたとおり、カカオ豆はまずココアバターとココアパウダー(非脂肪分)に分離されますが、このうちココアパウダーを使わないで作られたのがホワイトチョコレートです。

日本で最初にホワイトチョコレートを製造したのは、北海道土産のバターサンドで有名な六花亭でした。

ちょっと意外。

 

つまり、原料のカカオマスを脂肪分と非脂肪分にわけたあと、前者を使ったのがココア飲料、後者を使ったのがホワイトチョコレート、両方使うのがミルクチョコレートやダークチョコレート、ということですね。

 

でもここでまた、少しややこしい話をします。

いわゆるココアと、ホットチョコレートという飲料は、別の物だという定義もあります。

 

歴史上の順序で言えば、バンホーテンが今のココアの形を作り出した時点では、まだ固形チョコレートは登場していませんでした。

ですから、その当時は、チョコレートとはすなわち今のココアのことです。

そして現在も、アメリカでは大抵、ホットチョコレート=ホットココア、となっています。

 

しかしイギリスなどでは、ホットチョコレートといえばココアとは別物で、固形チョコレートが溶かし込んであります。

つまり、ココアバターが入っている、昔の形に近い物を指すようです。

 

特に、ヨーロッパ1番のチョコレート伝統国・スペインでは、今でもホットチョコといえばドロドロの飲み物で、中には温かくて柔らかい、半溶けの塊が入っているそうです。

これにチュロスを浸して食べるのが、伝統的な朝食なんだそうです。

おやつとしてはおいしそうですけど、朝からこれ食べて学校に行くのはちょっと抵抗がありますね。

 

それと、バレンタインデーにチョコレートを贈る習慣は、日本の菓子メーカーの陰謀だの騙されているだけだのと、よく言われていますよね。

でも本当は、19世紀のイギリスで起こった行事らしいです。

ただ、それを始めたのはチョコレート会社ですけどね。

 

それはいいのですが、その頃になると出回る外国産のチョコレートって、なんで国産に比べて味が悪いんでしょうね。

味が粗雑というかワイルドというか。

舌の繊細さにかけては、日本人が一番だと実感する瞬間です。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉