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あすなろ76 数詞、助詞「へ」(過去記事)

2018年4月25日投稿

 

 

 

2008.02号

 

あけましておめでとうございます。

今年も当塾をよろしくお願い致します。

 

最近、朝は毎日寒いですね。

私は毎朝、小学校の通学班の集合場所まで、一年生の子供と一緒に行っているのですが、こいつらよくこの寒い中行くわなんて、毎朝考えています。

 

小学生ともなると、まわりにポケモンをやっている子供が、急に増えるようになりました。

幸い、ウチの子はあまりゲーム自体には興味がないようですので、それはそれで助かっているわけですが、会話を聞いていて、一つ面白いことに気づきました。

 

ポケモンというのは、基本的に「RPG」という形式のゲームですので、戦って経験を積んで、「レベル」の数値が上がっていきます。

そのレベルは、ポケモンの場合はレベル1からレベル100まであり、ゲーム内での表記は、レベル5ならば「Lv.5」となっています。

 

さて小学生。

このレベルの呼び方が、ぼくらのような古いゲーム人とは、少々違うのです。

「今レベルいくつ?」ではなく、

 

「今なんレベ?」

 

「50レベルになった」

 

なんて会話をしています。

「レベル50」ではなくて、「50レベル」なんですねえ。

 

この言い方、思えば他の地域でも聞いたことがありました。

単なる地方性なのかもしれませんが、考えてみると、こっちのほうが、日本語として自然な呼び方なんですよね。

だって日本語では、数詞は数字のあとにつけるものですから。

 

具体例を出すまでもないのですが、数えるときには一枚二枚ですし、一個二個です。数詞は全て、数のあとです。

小学生は、数詞のあとに数字をいれるというレベル表記を、直感的に日本語として自然な形に変えたのでしょう。

先入観がない子供だからこそできることなのだと思って、軽く感動しています。

 

(この話は、後に詳しく取り上げています→あすなろ140

 

台所の洗い物をしながらそんなことを考えていたら、面白いことにまた気づきました。

 

数詞には、音便変化する物があります。

例えば、一本(ん)二本(ん)がそうです。

色々と考えていて、ちょっとした分類ができることに気づきました。

 


●一般和数字標準群

回: いっかい にかい さんかい

艘: いっそう にそう さんそう

 

●一般和数字音便群その1

階: いっかい にかい さん

軒: いっけん にけん さん

 

●一般和数字音便群その2

本: いっん にほん さん

匹: いっき にひき さん

偏: いっん にへん さん

 

●一般和数字音便群その3

班: いっん にはん さん

辺: いっん にへん さん

 

●原型和数字群・特殊群

月: ひとつき ふたつき みつき

人: ひと ふた さんにん

日: ついたち ふつか みっか

 

●漢数字群

枚: いちまい にまい さんまい

台: いちだい にだい さんだい

 

※この分類法は、私の勝手な思いつきと命名によります。学術的には全く意味がありませんので一応。


 

以上の中で、注目すべきは回と階、偏と辺です。

基本形を読む音が同じでも、その意味によって変化の仕方が違うんですね。

 

このような音便が変化する法則は、数詞の最初の文字によって機械的に変わるのだろう、と最初は考えていました。

英語で、母音の前に「a」をつけるときには「an」に変わる(an apple)というようなものと同じだろうと思ったからです。

また日本語でも、五段活用する動詞の連用形では、音便変化は、そこそこの規則性があるような気がします。

(あまりちゃんと調べていないので、例外があったらごめんなさい)

 


例 活用語尾が「つ」の五段活用は、連用形の音便変化が「っ」になる。

待つ→待った

立つ→立った

放つ→放った

他にも、活用語尾が「く」なら、連用音便は「い」になる(巻く→巻いた 開く→開いた)など。


 

ですから、回と階のような違いに気づいたときには、少し驚きました。

どういう由来から、こういう違いが生じたのでしょう?

 

というわけで、今回私が上に揚げたグループの、違いを生じる理由

 

~三回と三階は、なぜ読み方が違うのか~

 

を、誰か研究してみませんか?

 

日本語の発音の話といえば、もう一つあります。

これも私の身の回りの話ですが。

 

最近、私の下の子(五歳児・幼稚園年中組)が、妙な日本語を使うようになってきました。

 

「さっきの猫が、あっちへ行った」

 

ね。

変でしょ。

 

……あれ?

何も変じゃないですか?

 

さて。

何が変なのだと思います?

 

今、私が伝えようとしていることは、実は口では簡単に伝わるのに、文章だと伝えにくい、という珍しい内容です。

 

最近のウチの子がやっていることとは、「あっちへ」を

 

「atchi-he」

 

と発音するというものなのです。

つまり、助詞の「へ」を「e」と発音せずに、「he」と発音しているのです。

 

逆は、よく聞きますよね。

低学年の作文で、「あっちえ」と書いてしまうというやつです。

悪い見本として、「は」「を」と共に、小学校の国語の教科書には必ず登場します。

 

もちろんこれは、耳で聞き、口で話す「話し言葉」と、字で書く「書き言葉」のギャップからくる間違いです。

ただしその原因を考えると、「話し言葉を先に知っていたから」という大前提があるように思えます。

 

それがウチの子の場合は、おそらく「書き言葉を先に知った」のでしょう。

これはもしかしたら、国語の教科書的には、少々特殊な例にあたるのかもしれません。

 

しかしよく考えてみると、日常会話で「へ」は、あまり使わないことに気づきます。

普段、方向を表す助詞って、「に」ですよね。

私の日常会話の範囲ではそう思えるのですが、いかがなものでしょうか。

百年後の辞書には、助詞「へ」は「文学的表現」とか書かれているかもしれません。

大げさか。

 

さて。

 

先日、ウチのカミサン宛に、一枚のはがきが届いた時のことです。

一枚のはがきだけどはがして広げられるタイプのはがきを、最近よく見かけますよね。

あれです。

で、子供はこれをはがしたくてたまりません。

 

「これ開けていい?」

 

「お母さんに来たやつだから、お母さんに帰ったら聞いて」

 

「かあちゃん屁か」

 

「かあちゃん『へ』じゃなくて、『え』ね」

 

……いつ治るのかなあ、これ。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉