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あすなろ32 ハチ擁護(過去記事)

2018年6月8日投稿

 

 

 

2004.06号

 

岩井(現:茨城県坂東市)に、県立の博物館がありますよね。

なかなかいいところなんですけど、行ったことありますか?

 

先日、久しぶりに行ってみました。

行ったのはこれで3回目、7~8年ぶりくらいです。

行った理由は、「ハチ」特集をやっているからです。

知ったのはたまたまですが、昆虫のことをやっていると知った以上は行かざるを得ません。

弁当作って、親子で行きました。

すると、子供がすっかりはしゃいじゃって、自分のペースで見られなかったのが少々残念。

 

それはともかく、ハチです。

 

ハチっていうと、世間的には「危険動物」の代表格らしいです。

ウチにある「危険動物図鑑」では、表紙に一番でっかく載っているのがスズメバチです。

「ハチが飛んできた」というと、大抵の人が首をすくめながら、斜め上を見回します。

部屋に入ってきようものなら、一時パニックです。

 

そんなに怖いですかねえ?

 

基本的にハチは、自分の命を守る時と、自分たちの巣を守るとき以外には、刺すことはありません。

ので、部屋の中に迷い込んできたハチが、いきなり人間を刺すことはありません。

自分が「殺される」と感じたときにのみ、攻撃に移ります。

 

具体的には、自分の動きを押さえられたときです。

つまり、二本の指でつまんだり、壁に押しつけたりすると刺そうとします。

しかし、軽くつついたり、優しく払ったりしただけでは刺しません。

また、飛びながら刺すことはありません。

従って、飛んでいるところを手ではたいても、刺されることはないと考えていいでしょう。

実際、刺されたことがないですし。

 

巣を守るときは、少々別です。

確かに普段よりも攻撃的になります。

オオスズメバチは特に危険です。

が、それ以外のハチの場合、巣から1mくらいまでなら平気です。

巣から離れて攻撃することはありません。

 

要はあれですよ、熊。

熊も基本的には人間が怖いので、向こうから人間をめがけて襲ってくることはありません。

出会ってしまったら、身の危険を感じて攻撃態勢に入るだけです。

また、子連れは凶暴になるところも、巣を守るハチと同じです。

まあ、要はそれだけのことです。

 

それともう一つ、ハチ以外の昆虫をハチと間違えている人もよく見かけます。

 

「擬態」ってご存じですか。

主に、無害の動植物が、危険とされる動植物そっくりになることにより、敵から逃れようとすることをいいます。

(ベーツ型擬態の場合)

 

ハチに擬態している昆虫は数多くいます。

例えば、ハエの仲間であるハナアブなら、ハチよりも多く見かけます。

色彩はハチに似ていますが、頭はハエですので、慣れればすぐに見分けられます。

 


こっちがハナアブ。

ハエと同じ顔していますよね。


こっちがミツバチ


 

比べてよく見るとわかるのですが、頭に対する眼の大きさが、かなり違います。

無駄なエネルギーを使わないためにも、覚えておいて損はないと思います。

他にも、カミキリやガの仲間に、ハチによく似た種類がいます。

 

さらに目が慣れると、オスバチも区別できます。

顔や色合いなどがちょっと違うのですが……まあこちらはここでは違いを上げないことにします。

もともと、ハチの針は産卵管に由来しているので、オスには最初から針がありません。

それでも、オスを捕まえると、いかにも針があるように、刺す真似をします。

これも擬態行動の一種といえるでしょう。

 

関係ないですけど、擬態は英語でmimicryと云います。

実は、ドラクエに登場するモンスター「ミミック」の名は、これに由来しています。

(「ミミック」の場合は、獲物を捕るために周囲に紛れる、ベッカム型擬態でしょう)

 

ともかく、そういうわけなので、ハチに敏感になりすぎる必要はありません。

ハチの存在を、もうちょっと認めてあげてください。

 

また、黄色と黒の警戒色を持つ、いわゆるハナバチ以外でも、よく観察すると随分おもしろいハチもたくさんいます。

 

例えば狩人バチ(狩りバチ)というグループは、自分よりも大きいイモムシ・クモなどを狩って、地面に掘った巣穴や、土をこねて作った巣に運んでいきます。

また、この手のハチは、獲物を狩る時に殺さずに麻酔するという技を持っています。

(その話は、ファーブル昆虫記にも取り上げられています)

 

また、ウマノオバチは、産卵管が10cm以上もあります。

木の幹の中にいる、カミキリムシの幼虫を探し出して産卵します。

 

寄生バチの中には、体長0.18mm (180μ)以下のものがありますが、ちゃんと雌雄があり、飛翔します。

世界最小の昆虫です。

 

アリもハチの仲間です。

針はないですが、攻撃用に蟻酸という「毒」を出せます。

 

全く針がなく、幼虫は木の葉を食べているハバチという仲間もいます。

青蜂(セイボウ)と云う、玉虫に匹敵するくらい綺麗なハチもいます。

 

日本原産のミツバチは、スズメバチに巣を襲われたとき、敵に集団で取り付いて、体温を上げて熱死させます。

 

いかがでしょうか。

よろしければ、興味を持ってやってくださいませ。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義