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あすなろ116 トカゲとイモリ・ヤモリ(過去記事)

2018年3月16日投稿

 

 

 

2011.06号

 

トカゲを見かける季節になりました。

 

トカゲといえば、この近辺の里で見られるのは、まず「ニホンカナヘビ」です。

つやの無い茶色い種類で、尾が特に長いのが特徴です。

 

……なんて書くと、「それ普通のトカゲ」なんて言われそうですが、今書いた二点は、他種にはない特徴なんです。

これが日本の庭先で一番多く見られる種類なんですが、それでも一応、日本列島にしか棲息しない、日本固有種です。

 

筑波の自宅周辺でも、見かけるトカゲは、やっぱりカナヘビばっかりです。

ですから、この近辺にはカナヘビしかいないのかと思っていましたら、筑波山にはニホントカゲがいました。

 

 

ニホントカゲは、カナヘビ類とは違って、体がつやつやのピカピカです。

このツヤっぷりは、ニシキヘビやアオダイショウのような感じです。

尾はカナヘビほどは長くなくて、子供の頃は尾が青い金属のように光っています。

成体になると色が変わって、全体的に赤茶色のピカピカになります。

あと、カナヘビよりも敏感で、すぐに逃げます。

 

子供の頃、愛知県の実家周辺では、ニホントカゲもカナヘビも同じように普通に見ることができました。

ところが、色々と調べてみると、どうやらそういう地域は、少なくとも現在では少数派のようです。

この差が、時代的なものなのか地域的なものなのかはわかりません。

 

しかし一般に、カナヘビの方が「街に強い」ようです。

 

カナヘビは、三メートル程度の立木になら登ることがあります。

しかしニホントカゲは、垂直な壁には登れません。

ですので、ブロック塀に囲まれた空間ができると、カナヘビは出入り自由ですが、その中のニホントカゲは個体数の関係から絶滅してしまうことがあるようです。

 

さらに、「カナヘビは茂みに逃げ込み、ニホントカゲは石の下に逃げ込む」なんて記述も見つかりました。

確かに、筑波山で見たときも、河原のそばでした。

ということは、ブロック塀の少ない田舎になると、今度は田畑と草むらばっかりになるので、やっぱりカナヘビ向けの環境なのかもしれません。

 

こんな差が、庭先で見かける頻度の差になって現れてきているようです。

私の子供の頃は、大抵の家では、裏口同士がこんにちは状態で、敷地が壁で仕切られているなんて滅多にありませんでしたから、今とはやっぱり違うんでしょうね。

 

ウチの子もやっていましたが、カナヘビを飼うのは簡単です。

プラケースは登れませんから、土を敷いて、水を与えて、日向において、適当にエサの虫を放り込むだけで飼えます。

そういう意味では、一番身近な野生動物ともいえるでしょう。

 

以前(2004/7.NO.33)、この近辺に棲(す)むカエルは多分8種類しかいないだろう、なんて記事を書いたことがありますが、トカゲなんて、この2種類だけです。

身近な動物なのに、案外種類がないものです。

 

トカゲは、爬虫類(正確には爬虫綱)の有鱗目(ゆうりんもく)に分類されます。

 

――そうそう。「はちゅうるい」は、「爬虫類」です。

漢字を知らないおこちゃまが、交ぜ書きで「は虫類」と書くのは仕方ありませんが、「ハチュウ類」などと片仮名に直す行為は、日本語では「愚の骨頂」といいます。

 

お前のことだよ文部科学省!

 

現在、理科の教科書では、爬虫類は「ハチュウ類」、哺乳類は「ホニュウ類」という表記になっていますが、なぜか鳥類は「鳥類」だし、魚類は「魚類」だし、両棲類は「両生類」です。

脊椎動物は「セキツイ動物」ですが、節足動物は「節足動物」です。

きっと、

「今時のガキ共は、画数の多い漢字を書けないバカ揃いだろうから、書かずに済むように片仮名にしておいてやるよガハハ」

という、老人達の優しい心遣いなんでしょうね。

反吐が出るわ。

どうせやるなら、チョウ類とかギョ類とかやってみろよ、と常々思っております。

 

バカと思われないように、漢字は書けるようにしておきましょう。

 

閑話休題。

 

爬虫綱の有鱗目には、他にヤモリ、ヘビの仲間が属しています。

 

このうち、ヘビは6~8種ほど棲んでいるようなのですが、ヤモリは、関東ではニホンヤモリ1種のみです。

 

ヤモリというと、多くの人がイモリとヤモリってどっちがどっち? なんて話になってしまうので、ここで紹介します。

 

 

イモリは両棲類で、水中に棲みます。

 

江戸時代、江戸の町中には川から上水が引き込まれていて、所々で「井戸」として活用されていたのですが、ここによくイモリを住まわせていました。

ボウフラを食べてくれるから、というのと、井戸に毒を入れられてもイモリが赤い腹を向けて死ぬのですぐにわかる、というのがその理由だそうです。

だから、「井守」なのです。

 

対するヤモリは、「家守」です。

人里に棲み、かつては時に住居に入って虫を食べていました。

足が吸盤状(正確には吸盤ではない)になっているので、ガラス程度なら登れます。

塾周辺にも、夜になると時々現れて、明かりに来た虫を食べています。

 

しかしニホンヤモリは、どうやら外来種であり、少なくとも江戸時代初期には、関東に棲んでなかったようです。

今でも、下妻駅前にはいるのに、私の自宅周辺のような、田んぼに囲まれた集落には棲んでいません。

森林にもいません。

人間の住みかにくっついて生息域を広げた動物だということです。

 

ヤモリも簡単に飼えます。

飼い方はトカゲと基本的に同じです。

ただしプラケースの壁を登りますので、蓋は必要です。

 

私も2年ほど飼いました。

かわいいですよ。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義