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あすなろ212 デニム? ジーンズ?

2019年10月20日投稿

 
 
 
2019.06号
 
中学三年の英語の教科書に、こんな一節がありました。
 


(前略)2013年には、デニム発祥の地フランスで、倉敷のデニム製品の展示会が行われました。
ヨーロッパからアメリカ経由で伝わり、倉敷で独自の進化を遂げたデニムが、来場者にその高い品質と技術を示しました。


 
……そうだっけ?
 
なんか私の記憶と違うような気がするんですよね。
デニムって、単なる染料だったような気がするのですが、どうでしたっけ。
 
英語の教科書に載っているコラムについては、以前ちょっとおかしい表記(午前と午後の間違い)を見つけたこともありますので、この話が本当に正しいのかどうか、ちょっと調べてみることにします。
 
さて。
まずは私のうろ覚え知識から。
 


・ デニムとは、フランスのニム地方の染料のこと
 
・ いわゆるジーパンは、リーバイさんが抗夫向けの作業ズボンとして、最初はキャンバス生地で作って売り出したもので、途中からデニム色に替えたら受けたために定番になった
 
・ 戦後、進駐軍によって日本に伝わったため、「GIパンツ」から「Gパン」と呼ばれるようになった
 
・ 倉敷や大阪では、確かに「本物のジーンズ」を作っていて、現在はそんな本物が作れるのは日本だけ


 
では、本当なのか、調べてみましょうか。
 
まずは、ジーパンの起源から。
 
先に挙げたとおり、最初にジーパンを売り出したのはリーバイさんです。
これがリーバイスLevi’sですね。
 
英語圏では、人名+sをブランド名にしている会社はたくさんあります。
例えば、チョコレートのハーシーズHershey'sもハーシーさんが始めた会社ですし、マクドナルドも本当はMcDonald’sで、やはり創業者の人名+sで、コーンフレークのケロッグも、会社名はKellogg’sです。
でもケンタッキーフライドチキンは、ケンタッキーさんが始めたわけじゃないのでsは付きません。
 
で、そのリーバイさんがアメリカにいた頃、カリフォルニアで「ゴールドラッシュ」が起こりました。
1950年頃のことです。
 
ゴールドラッシュとは、新たに見つかった金鉱脈に、人が殺到する現象です。
この時は数年のうちに30万人もが集まったと言われています。
 
――ゴールドラッシュの話だけでも面白いのですが、今回は割愛します。
 
さて、リーバイ氏の作った会社は、生地や衣類などの卸売りをしていたようですが、その中にキャンバス(カンバス)布がありました。
キャンバスは油絵でも使われますが、元々は帆船の帆のための布です。
他に、テントや馬車の幌にも使われていました。
 
そんなあるとき、リーバイ氏から生地を買っている仕立屋さんから、事業を興さないかという提案がありました。
この仕立屋さんは、作業用オーバーオールのポケットの端を、リベットで止めて補強したものを作っていたのですが、これを量産化しないかというものです。
 
リベットというのはですね……。
 
現在でも、ジーパンといえばポケットの端に丸い金属がくっついていますよね。
あれがリベットです。
 
リベットとは、本来は鉄板と鉄板をかしめるための鋲で、橋や飛行機などを製造するときに使われています。
 
――リベットの話も、語り出すとまた面白いのですが、今回は断念します。
 




リベット


 
ともかく二人は、このリベットを使った「ポケット口の取り付け強化法」について特許を取ると、工場を確保して生産を始めたのです。
売る対象となったのは、ゴールドラッシュで炭鉱夫をしていた労働者です。
当時は、とにかく丈夫なズボンが求められていたのです。
(この仕立屋さんの顧客は、炭鉱夫よりも木こりが多かったという話もあります)
 
ところで、当時のこのリベット付きのオーバーオールは、布の種類によって二種類が売り出されていたようです。
それが、デニムdenimとジーンjeanです。
 
デニム仕様は、丈夫な代わりに高価でした。
そのために、機械工やペインターが使っていました。
対してジーン仕様の方は、それ以外の一般労働者が着ていたようです。
 
デニムとは、元々はフランスのニーム地方特産の織物のことで、「セルジュ・デ・ニーム」という呼称を短くしたものです。
 
一方ジーンは、みんな大好きウィキペディアによると、


デニムを輸出する際にイタリアのジェノバから出港していたので、ジェノバが転訛してジーンとなった(つまり同じ物を指す)


……なんてことが書いてありますが、少なくとも19世紀のアメリカでは、全く別の種類の布として、使い分けられていたというのが真実のようです。
 
ではここいらで一旦、私のうろ覚えの答え合わせをしておくことにします。
 
まず、「デニム」とは織り方を示す言葉で、インディゴ染めのことではありませんでした。
ただし、元々デニムという布は、インディゴ染めが特徴だったようです。
 
GパンのGは、ジーンズを略しただけですね。
言われてみれば、そりゃそうですわ。
 
また、デニムのパンツは途中から追加したのではなくて、最初からあったのですね。
 
ところが、ジーンズの語源にもなっているジーンは、洗っているうちに「テントを着ているよう」になってくるのだそうです。
ところがデニムは、ジーンよりも丈夫で快適なので、デニムを着るとジーンには戻れない……
ということで、ついにはジーンを廃止して、デニム一本にしたようですね。
 
この話は、次回も続けます。
 
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義