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あすなろ160 凧

2023年1月22日投稿

 
 
 
2012年02月号
 
 
 
すっかり年が明けました。
 
 
 
子供が通っている幼稚園は、
毎年一月になると、
「たこ揚げ大会」
が開催されます。
 
 
 
単にこれだけ聞くと、
園児が凧を揚げる
微笑ましい光景を想像するのですが、
 
違います。
 
違うんです。
 
 
 
冬休みを目前に控えたある日、
子供を幼稚園に送っていくと、
入り口で待ち構えていた先生に、
でかい紙袋を渡されます。
 
 
 
中身は、
たたんだ紙と、糸と、竹の骨。
 
 
 
「休み明けにたこ揚げしますので、
おうちの方で作ってくださいねー」
 
 
 
マジですか。
 
作るんですか。
 
 
 
というのが、
二年前のこと。
 
 
 
配布された袋には、
ダイヤ凧、角凧、六角凧の作り方が
ごく簡単に書いてある
「説明書」が入っています。
 
そこで、
一年目の年少組のときには、
一番骨が少なくて簡単そうな
ダイヤ凧を作りました。
 



 
できあがってから
試験飛行をしてみるのですが、
最初はあまり上手く飛びません。
 
どういうときには
どこを調整すれば解決するのか、
インターネットで色々調べてみました。
 
そうしたら、
作るときの注意点(左右のバランスなど)を
後から知ってしまって
少々後悔することになるのですが……
 
 
 
それはともかく。
 
 
 
そこからは何度も、
飛ばしては調整、
飛ばしては調整、
を繰り返しましたので、
本番ではそこそこ上手に揚がりました。
 
一応、用意された糸は、
最後まで使い切る程度の高さで
揚がり続けていました。
 
 
 
二年目。
 
 
 
年中組のときは、
角凧を作りました。
 



 
このときは、
あらかじめインターネットで調べまくって、
相当満足のいく出来になりました。
 
が、肝心の本番の日は、
凪。
 
歩くだけでどんどん飛ぶほど
よくできているのに、
立ち止まると徐々に落下。
 
ということで、
大して飛ばずに終わってしまいました。
 
 
 
そして三年目の今年。
 
 
 
今回は、
最後に残った六角凧に
挑戦することに決めていました。
 



 
しかーし、
この冬休みは予定がパッツンパッツンで、
凧を作るヒマが全くありません。
 
ほんとにありません。
 
年末は帰省必須。
 
帰ってきたらすぐお仕事。
 
結局、冬休みが終わるまで、
一ミリも手つかず状態でした。
 
 
 
そして本番の三日前、
作る時間が取れましたので、
超速で作り上げました。
 
今回はそんなわけで、
インターネットで調べているヒマなんてない
(自宅はネット回線未通)まま、
同封の「説明書」通りに組んで
テストフライトをしてみたわけですが、
いやこれがバランスが難しい。
 
 
 
それでもなんとか
マシに揚がるように調整して、
いざ本番。
 
 
 
揚がるには揚がるんですが、
なあんとなくイマイチ。
 
当日は
風が少し強すぎるきらいがあったので、
それを調整するために
揚げたり下ろしたりしているうちに、
 
他の凧の糸に引っかかって
相手の糸をぶっちぎったのが一回。
 
逆に他の凧にぶつかられて、
こちらの足をぶっちぎられたのが一回。
 
 
 
結局はその足切れが不調を招いて、
そのまま戦線を退くことになったので、
今回も糸を使い切らないまま
終了してしまいました。
 
 
 
そして後日、
「やっぱ角凧が一番バランスがいいのかなあ」
なんて何気なく凧作りのサイトを覗くと、
六角凧の作り方。
 
 
 
張り糸(凧本体に反りをつけるための糸)は
上下に二本つけて、
下の糸を強めにすると良い
 
とあります。
 
 
 
おや?
 
 
 
私が見た「説明書」には、
そんなことは書いてありません。
 
知らない私は角凧と同じように
上側に一本だけ張って完成。
 
 
 
違うじゃねえか……。
 
こんな逆バランスでよく揚がったな……。
 
 
 
でも考えてみれば、
これは凧の特性上、
当然なんですよね。
 
今更気づきますが。
 
 
 
凧は、
風を下方向に受け流すことで
揚がっています。
 
そのための工夫の一つが
「糸目」と呼ばれるものです。
 
凧に直接ついている糸を
糸目糸と呼ぶのですが、
その束ねた部分が凧の中心より
上側に来るように調節することで、
風を下に流すことができます。
 




 
この糸目糸も、
どの程度の長さがいいのか、
毎回わからないままで作っていました。
 
しかし今回、
試験飛行しながら理屈を考えているうちに、
やっぱり長い方が安定するんだろうなー
なんて思って、
少し長めに作り直したりもしたのですが、
私の作った糸目糸では
まだまだ短かったみたいです。
 
知らなかったよう。
 
 
 
また、ダイヤ凧や角凧は、
上半分の骨が多く、
下半分の骨が少なくなっています。
 
その結果、
上よりも下の方が、
強度が低くなっています。
 
凧は飛んでいる間、
風圧によって本体が変形するのですが、
下の強度が低いので、
下の方がより変形することで、
風が下に逃げやすくなります。
 
そんな理屈で、
凧はさらに効率よく
揚がるようになるわけです。
 



 

しかし六角凧は、
骨の構造に関しては
上下対称の構造です。
 
そこで、下に風を逃がすために、
 
下の横骨を細くするなどして
強度を下げたり、
 
下の横糸を強く張ることで
下半分の変形を高めて、
風を下に誘導する、
 
というわけだったのです。
 
そうだったのですか。
 
 
 
でもおかげさまで、
三年目に一番悔しい思いをしたので、
もう次は完成度の高いものを作れそうです。
 
 
 
んまあ、
幼稚園のイベントは終わりなのですが、
実は小学校でも、
親子イベントとして少しだけあるんですよねー。
 
 
 
ただ、小学校の方は、
いつも「時間が無い」という名目で、
凧の形だけ作って終わりなんですよね。
 
 
 
でもそれは、
今の私から見れば、
単に作業手順が悪いだけです。
 
ベテランとなってしまった私なら、
もっと手早く完成させられます。
 
 
 
ですからその日は糸を持ち込んで、
一人だけ超速制作しちゃって、
みんなが完成しないうちに
飛ばしちゃうのもアリかなー
なんて企んでいます。
 
あー楽しみ。
 
 
 
さらには、
凧の糸目やら強度やら、
はたまた材質やらを、
どう変えると飛び方がどう変わるか
なんて実験を、
夏休みの自由研究……
 
いや何でもありません。
 
今のは忘れてください。
 
 
 
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義
 


 
追記
2023年1月
 
 
 
これを書いた4年後。
 
小学校が統合して
別の学校となってしまったため、
凧作りは無くなってしまいました。
 
 
 
しかし、
最初に凧を作ってから、
ちょうど10年。
 
中2になった娘に、
学校から
「凧を作れ」
という宿題が出ました。
 



 
10年前、
私が娘に作った凧を
参考にしながら、
今度は娘が作ります。
 






 
教訓を生かして、
糸目糸は長く長く作ります。
 
 
 
そして飛ばしますが、
どうも上手く飛びません。
 
くるくる回ります。
 










 
さて、
どうしたものか。
 
 
 
二日ほど考えて、
凧を引く糸目糸を
増やしてみました。
 
 
 
普通、
ダイヤ凧の糸目糸は、
1本か2本です。
 
どこのインターネットにも、
そう書いてあります。
 
それを、

4本

にしました。
 
回ってしまうのは、
左右の片側だけ押されて
不安定になるからじゃないか、
と思いまして。
 



 
そこからは、
本人の飛ばす様子は
見られないまま
冬休みが終わったのですが、
 
飛ばしても、
回らなくはなったようです。
 
 
 
最初の制作から10年。
 
 
 
どうやら、
ようやく「完成」したようです。
 
 
 
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義