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あすなろ228 七福神-1

2021年2月2日投稿

 
 
 
2020.11号
 
七福神のお話です。
七福神と言えば、宝船に乗っていて、その絵を枕の下に敷いて寝ると、
よい初夢を見ることが出来るなんて話があるんですけど、
 
――――知らないかなあ。
 



 
洋菓子のブランドである「タカラブネ」は、もちろんここから名前を取っています。
元は「宝船屋」という名前だったそうです。
 



 
それよりも、恐らく小中学生くらいでしたら、福神漬けという名前の方がおわかりかと思います。
らっきょう漬けと並んで、いつからかカレーの添え物という認識になって久しいアレです。
 



 
あれは、色々な野菜の切れ端が入った漬物なんですけど、
その具材を七福神に例えたことから、福神漬けという名前になっています。
 
てなわけで、七福神というのは福神漬けの元ネタです終わり。
 
 
 
なんてひどい説明だろう……。
 
 
 

ともかく七福神とは、七柱(神様はこうやって数えます)の神様なんですけど、
神様とは言っても古事記に登場する由緒ある日本の神様とは、またちょっと違うんですよね。
 
古事記に登場する神様というのは、天照大神(あまてらすおおみかみ)や伊弉諾(いざなぎ)、
伊弉冉(いざなみ)、大国主命(おおくにぬしのみこと)、須佐之男命(すさのおのみこと)
あたりのことです。
言い方を変えると「神社に祀られている神様」であり、「神話に登場する神様」です。
 
その形が固まったのは、古事記が編纂(へんさん)された奈良時代です。
そして、古事記の編纂は国家事業として行われました。
つまり、この神様たちは「国が定めた神様」とも言える存在です。
 
それに対して、七福神は民間信仰から始まって、なんとなく集まって出来たメンバーなのです。
順にメンバー紹介をしましょうか。
 
まずは恵比寿(えびす)です。
関西では「えべっさん」とも呼ばれています。
 
右手に釣り竿を持ち、左手に鯛を抱えている、いわゆる福の神です。
海の向こうからやってくる神様で、漁業の神様でもあります。
 



 
ところで古事記では、イザナギとイザナミは最初、ヒルコという子供を産みます。
ヒルコは、手順を間違っていたために産まれてしまった失敗作ということで、
海に流されてしまって、その後は登場しません。
古事記には、ヒルコは子には含めないと書かれています。
 
ところが、
「ヒルコは実は生きていた!」
「恵比寿となって、海を渡って帰ってきた!」
 
……という話が室町時代に登場しまして、恵比寿=ヒルコとして祀られている神社が数多くあります。
 
一方、恵比寿とはヒルコではなく、事代主神(ことしろぬしのかみ)のことである、
という説もあります。
事代主神とは、やはり古事記に登場する、大国主命(おおくにぬしのみこと)の子にあたります。
 
大国主命というのはですね、日本の国を作った人で、「因幡の白ウサギ」でウサギを治療する神様です。
神無月に日本の神様が集まると言われている出雲大社は、大国主命を祀るための神社です。
 
というわけで、どちらにせよ恵比寿は日本の神様なのですが、七福神の他の神様は、日本以外が由来だとされています。
 
次は、大黒です。
 
前回少し書きましたとおり、大黒天のことです。
仏教における「天部」の1人ですね。
 
元々は、ヒンドゥー教のシヴァの化身の1人である、マハーカーラのことだと言われています。
 




 
しかし日本では、大黒→大国→大国主と解釈されて、先述の大国主命と習合しました。
 


習合(しゅうごう)=元は別であった信仰の対象が、一つにまとまること。
民間信仰では、神様が別の神格へと分離したり、逆に同一視されて習合することは珍しくありません。


 
その結果、名称は大黒天のままでも、その実像は大国主命という、今の「大国様」ができあがりました。
 
今や大黒天と言えば豊穣の神であり、米俵の上に乗り、福袋を肩に掛け、打ち出の小槌を持ち、
さらにはネズミを使いとして従えています。
シヴァの化身だった頃の恐ろしい顔はどこへやら、もうニッコニコですよ。
 


出雲福徳神社の恵比寿(右)と大黒(左)


 
左の画像のような、恵比寿と大黒がセットで祀られている姿は多く見られます。
実はこの二柱から始まって、三柱目、四柱目……と色々加えていった結果が、今の七福神です。
 
三柱目の神様としては、私は布袋(ほてい)だと思っていたのですが、
正解は毘沙門天(びしゃもんてん)のようです。
 
名前からもわかるとおり、こちらも仏教の「天部」に属する1人です。
 
毘沙門天の由来は、ウィキペディアには
 


ヴェーダ時代から存在する古い神格であり、インド神話のヴァイシュラヴァナを前身とする


 
……なあーんて書いてありますが、すみませんよくわかりません。
私は聞いたことがなかった名前ですが、この「ヴァイシュラヴァナ」が「ビシャモン」に変化したらしいです。
 
それよりも実は毘沙門天は、四天王の多聞天と同格の存在です。
ですからその姿は、古代のチャイナな甲冑を着ているのが一般的です。
もちろん、戦いの神です。
 


那珂にある日本一の毘沙門天だそうです

 
こちら↓は前回掲載の多聞天


 
この三体から始まった信仰ですが、後には毘沙門天の代わりに弁財天が入ることもありました。
 
……が、今回はここまでにします。
 
続きはまた次回ということで。
こんなのばっかりで、なんかすみませんほんと。
 
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義