2018年3月

あすなろ170 ぼくの知恵袋(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2015.12号

 

長く生きていると、色々な「俺オリジナル」というものを編み出すようになります。

 

なんて言っても大した話ではなくて、日常の延長のお話です。

一時期、重曹を掃除に使うことが流行しましたけど、まあそんなようなものです。

 

でもそんな、確かに自分で思いついたはずのことが、テレビで紹介されていたり、インターネット上でテクニックとして広まっているのを見ると、

「ああ、自分以外にも同じ事を考える人がいるんだなあ」

と思う反面、

「俺の方が昔から知ってたもんね」

と思ってみたり、逆に

「発表しておけば、いつか誰かの役に立つのかもしれない」

と考えたり。

 

今回は、そんなものを書き出してみます。

 

 


1.製氷皿から氷をきれいに出す方法


 

方法としては、製氷皿をひねる前に、皿の裏側に流水をかけるというもの。

蓋付きならば、開ける前の蓋にも水をかけておきます。

それだけで氷の張り付きが取れるので、蓋は軽く外れますし、氷も割れることもなく簡単に外れてくれます。

 

今時の普通のご家庭の冷蔵庫には自動製氷機がついているでしょうが、私のように敢えて製氷機無しのモデルを選ぶ方にはお勧めの方法としていかがでしょう。

 

この方法、何年か前に中学生に話したら、

「はいはい、テレビでやってましたよね」

と。

いや、俺が確かに思いついたんだといっても、

「いやいや(笑)」

とか言われちゃったり。

私はもうテレビなんて全く見てないので、同じことを考えた人がいるってことでしょう。

 

製氷皿といえば、100円ショップで買ってきたこれをプラモデルの塗料皿とかパレットとして使うと、汚れた時に惜しくもなくどんどん捨てられるので便利です。

 

 


2.パラパラチャーハンの作り方


 

ネット上でたびたび話題になるのが、この「パラパラチャーハンの作り方」。

この手の話で必ず上がるのが、「家庭用のコンロでは火力が弱くてムリ」みたいな書き込みです。

でも、ならば火力の強い業務用ならば簡単にできるのかといえば、そうでもないんですよね。

だって我が家は、建て替えたときにコンロを業務用にしましたけど、簡単じゃないもん。

結局、ポイントは大量の油なんですよね。

 

でも、そんな派手なことをしなくても作る方法を見つけました。

それは、マヨネーズを油代わりに使うというものです。

 

シルバーストーンのフライパンにご飯をあけて、それにマヨネーズをかけて火にかけながらよーく混ぜます。

火力は中火から弱火のあたりでも充分で、ちゃんとパラッパラのチャーハンができます。

ゆっくり混ぜないと周りに飛び散るくらいパラパラになります。

 

もちろん最初はマヨネーズ特有の匂いが出ますが、そんなのは火を通すうちに飛んでいっちゃいます。

それでもなんだか気になるということでしたら、ケチャップをかけて「チキンライス」にしてしまえば、ケチャップの酸味と匂いに混ざってしまって、全くわからなくなります。

 

この方法は、だいたい3年前くらいから、子供の弁当作りに活用していました。

ところが最近、インターネットでたまたま見た2chのまとめサイトに、同じことが書いてありましたよ。

どうやら「とあるシェフの技」として、テレビで紹介されたようです。

やっぱり同じ事を考える奴は必ずいるもの……とも思うのですが、もしかしたらどっかに書き込みしたかなあ俺。

といっても別に起源を主張するつもりはないのですが。

 

この方法を見つけてからは、朝から幼児の弁当用にオムライスを作るのも苦にならなくなりました。

オムライスったって、手を抜けば簡単ですよ。

具なんて基本的に入っていません。

入れたとしても、コーンを十粒とか、前の晩の野菜炒めを一口分残しておいたものをみじん切りにして入れるとかそんなもんです。

だって、完成品のサイズは握り拳程度しかないんですから。

 

そういえば、他にも「プチトマトのきれいな切り方」も、弁当を作っているうちに発見しました。

プチトマトは、よーく見ると縦に線が一本一周しています。

この線に垂直に切ると、種の部分が表面に出ないので弁当向けです。

この線に沿って切ると、種の部分がきれいに見えるので、サラダの飾りに適しています。

ただ、これは実家の母親も知っていました。

 

 


3.チャイルドシートのガチ固定法


 

リクライニングできるシート限定ですが。

 

1. チャイルドシートを、背もたれを少し倒し気味にした座席に置いて、ベルトでテキトーに固定する。

2. 背もたれの先端を持って前に引き起こせばガッチガチ。

 

テコの力を使っていますので、微動だにしないほど締め上げることができます。

ただし、今時のチャイルドシートには、締め上げるためのダイヤルが付いていると思いますので、あんまり役に立たないかもしれません。

というかそもそも、これを読んでいる人で、今後チャイルドシートを固定する機会がある人なんているのかとも思いますが気にしない。

なお、シートスライドではテコが使えないので、そこまで締めることはできません。

 

 


4.運転席から後席の幼児の様子を見る方法


 

条件として、ルームミラーが自動防眩ではない(切り替えのつまみがついている)こと。

 

ルームミラーの防眩切り替えは、本来は標準が下向き――つまり下のつまみを押した状態――で使う物なのですが、これを敢えて上向き――つまみを引いた状態――にして合わせておきます。

そしてそのまま下に切り替えると、まあなんと、後部座席の子供の顔が見えるじゃないですか。

 

時には、ずっと下に切り替えたままで運転していることもありました。

外の天気次第ではありますが、二重写しになった鏡面に、後続車と子供が同時に映るので、慣れればそのまま走れるのです。

ただしこれは、できればリヤガラスにスモークが入っていない車体の方がよろしいかと思います。

 

育児ネタでは他に、「キューブミルクの素速い溶かし方」なんてのも発見して使っていましたが、そこまではもういいですよね。

 

 


5.コップを割った時の片付け方


 

大きいかけらを普通に拾ったら、微細な破片はぬれ雑巾で丸ごと拭き取って雑巾ごとポイ。

安全で手早く終わります。

 

これは実は、カミサンから教わったものでして、私オリジナルというわけではないのですが、似たようなことは小学生の頃に自分で発見しています。

それは、

 

 


6.ミツバチを捕まえるときは厚く折ったハンカチで掴めば針が届かず刺されない


 

来た!

これこそ今日から使える知識!

ミツバチを捕まえる際には、ぜひご活用ください!

ぜひ!

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義

あすなろ65 納豆の効能(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2007.03号

 

申し訳ありませんが、今回は時事ネタから引っ張ってきました。

テレビの話より。

 

つい先日、「あるある捏造発覚」が大々的に報道されましたね。

 

あの番組は、数年前に意味不明のアミノ酸ブームを起こした張本人でもあります。

アミノ酸の「効果」とやらがいかにいい加減で、この番組がいかに適当に作られているかは、実は私もこのあすなろ通信(2003/7・No.21)において、一度取り上げたことがありますので、今回の騒動は今更の感もあります。

 

今回の騒動、きっかけは納豆でした。

 

納豆がダイエットに効くそうな

 

→納豆を毎日食べよう!

 

→ダイエットは実はうっそピョ~ン

 

→納豆を毎日食べたのは馬鹿でした…

 

……というような流れが世間一般にあったようで、これ以後、ちょっと納豆の人気が低下しているような気がしています。

しかし、一茨城県民として、この状態は看過できません。

納豆の名誉を復活させるべく、納豆のすばらしさを説いてみようと思います。

 

といっても、納豆の味や調理法などは、すでに一般に知れ渡っているでしょう。

ここで「納豆に砂糖を入れるとおいしいよ」と説いたところで、「ダイエット」という言葉に煽動された愚民共の流れは、そうそう変わらないでしょう。

ここは「食の怪人」小泉武夫氏の著作に従って、科学的見地から見た、納豆の効能を挙げていこうと思います。

(参考文献…NHK人間講座「発酵は力なり」)

 

・効能その一 消化がいい

 

納豆とは、煮た大豆にとりついた納豆菌が、大豆の蛋白質(たんぱくしつ)を分解(発酵)している、まさにその最中の状態の食品です。

蛋白質は、人間が摂取する際には、まずアミノ酸に分解されてから吸収します。

しかし納豆は、納豆菌によってあらかじめアミノ酸まで分解が進められているのです。

 

それに加えて、納豆には納豆菌が作った澱粉(でんぷん)分解酵素、蛋白質分解酵素、脂肪分解酵素が、たくさん残されています。

これらは人間の消化酵素と基本的に同じですから、栄養分の吸収が、とても助けられることになります。

 

・効能その二 蛋白質

 

大豆が「畑の牛肉」と呼ばれる、と聞いたことがありませんか?

「~と呼ばれる」という言い回しは、「誰も呼ばねえよ」というものが多いのですが、これに関しては本当です。

 

煮た大豆に含まれる蛋白質の量は、平均で全体の17.5~18.5%あります。

それに対して、牛肉の蛋白質は、18~19.5%です。

本当に、牛肉とほぼ同じ割合の蛋白質を含んでいるのです。

しかも先述したとおり、これが消化しやすい状態で摂れるのです。

蛋白質の摂取には、もしかしたら牛肉よりも納豆の方が適しているのかもしれません。

筋肉を付けるのに、市販のプロテインよりも、きな粉(つまり、大豆の粉末)の方が安くて効果が高い、という話を聞いたこともあります。

 

・効能その三 ミネラル

 

大豆には亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、カリウムといった成分が豊富に入っています。

そして大豆が納豆になることによって、これらがより吸収しやすい状態になっています。

ミネラルの中でも、例えば亜鉛が不足すると、味覚障害、情緒不安、遺伝子形成の阻害などの症状が現れるといわれています。

納豆には、それらを防ぐ効果があるというわけなのです。

 

・効能その四 ビタミン

 

納豆は、ビタミン群も豊富です。

中でも、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンE、ナイアシンなどが多く含まれています。

特にビタミンB2が豊富で、煮ただけの大豆の5~10倍あります。

ビタミンB2の不足は、皮膚炎、脱毛、食欲不振、疲労、成長障害の原因となります。

 

また、ビタミンKも増えます。

ビタミンKは、腸内の大腸菌が作りだすビタミンで、骨とカルシウムを結合させるのに働きます。

私の手元の資料では、納豆自体にビタミンKが入っているのか、大腸菌の働きを活発にするのかがよくわかりませんが、とにかくそういう効果があるそうです。

これにより、骨粗鬆症を防ぐ効果があります。

 

・効能その五 保健的機能

 

よく、ヨーグルトの宣伝文句に「乳酸菌を生きたまま腸内に」というものがありますが、これはなんのためなのかご存じでしょうか。

 

乳酸菌や納豆菌などの菌は、善玉菌と呼ばれることがあります。

これに対して悪玉菌と呼ばれるのが、食べ物を腐らせる腐敗菌を始めとして、病気の原因となる炭疽菌、結核菌などのことです。

 

善玉菌は、悪玉菌の繁殖を阻害することができます。

 

寒天培地に病原性大腸菌のO-157を入れ、そこに納豆菌を同じ数だけ入れて混合培養してみます。

すると、ほとんどの場合で培地は納豆菌に支配され、O-157は増殖できなくなります。

基本的に、細菌などの微生物は異種同士での共存はしません。

同種同士で集団(コロニー)を作り上げ、さらには特殊な物質を出して、異種の増殖を抑えようとします。

 

おもしろいことに、腐敗菌などの悪玉菌と善玉菌を勝負させると、おおかたの実験では善玉菌の方がはるかに強いのです。

だから、善玉菌がいる食品は腐りにくく、食べても病気になりにくいのです。

うまくいけば、繁殖を始めた病原菌を追放することもできます。

 

そして納豆を食べると、納豆菌を生きたまま腸内に入れることができます。

途中、胃を通過する必要があるのですが、納豆の場合は大豆の粒の中に入っていれば、胃酸に侵されずに腸にたどり着くことができます。

また、納豆菌は比較的熱に強いですから、熱を使って調理した納豆でもかまいません。

善玉菌の摂取法に、融通が利くのが納豆なのです。

 

そうやって、腸内に納豆菌を棲み着かせておけば、腸の中で悪い雑菌の繁殖を防げます。

毒素を吐くような悪い菌がいませんから、便秘にも下痢にもなりません。

今回の参考文献の著者である小泉氏は、海外出張する際には乾燥納豆を大量に持って行くのだそうです。

そしてそれを毎日食べていれば、何を食べても食中毒に全くかからないとのことです。

納豆菌で満たされている腸内には、悪玉菌が取り付く隙が無くなってしまう、ということなのです。

 

また最近、納豆に含まれるすばらしい酵素が、新たに二つ発見されました。

 

一つは、アンギオテンシン変換阻害酵素というもの。

これは、高すぎる血圧を下げて、平常にする効果があります。

もう一つは、ナットウキナーゼという、血栓を溶解する酵素です。

これによって、癌よりも恐ろしい、脳梗塞や心臓疾患を防ぐことができます。

実にすばらしいではないですか。

 

本当はまだあるのですが、紙面が尽きてしまいました。

納豆を毎日食べて、健康な毎日を過ごしましょう。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義

あすなろ97 チョコレート(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2009.11号

 

みんな大好きチョコレート。

 

人の好みは様々であるはずですが、その中でもチョコレートは、あまり「嫌い」だという話を聞いたことがありません。

どういうことなんでしょうねえ。

 

チョコレートの原料となるカカオは、中南米を原産とする木の実です。

 

しかし紀元前2000年頃から15世紀までは、カカオの実を粉にして、それを水に溶いたものを飲んでいました。

これにバニラ、ペッパーなどの香辛料を入れて飲んでいたので、苦くて香りの高い飲み物だったようです。

また、水に溶いてはいたものの、カカオには油分が多いためにあまり水には溶けずに、かなり濃厚な液体でした。

また、カカオ特有の酸味もあったようです。

 

赤道付近の国では一般的に、香辛料の強いものを飲食して、汗をかいて体を冷やす食文化があります。

インドのカレーやタイの唐辛子料理がそうですよね。

中南米におけるチョコレートも、やはりそのようなものだったのでしょう。

 

ですからでしょうか、カカオはまた、大変珍重され、貨幣の代わりとして流通した時代もありました。

 

さて、15世紀末に、コロンブスという男が中米を見つけちゃったものですから、そこからは西洋人の侵略が始まります。

そして、スペイン人が持ち帰ったものの中に、カカオの実とチョコレート加工器がありました。

 

スペインの侵略者コルテスとチョコレートとの出会いに関しては、子供の頃に本で読んだことがあります。

それによれば、進軍の途中に出会った現地人から貰った、ということになっていましたが、本当は少し違うようですね。

コルテスがアステカ王国を訪れたとき、国王から客人にふるまわれた高級飲料、というのが真相のようです。

 

ところでこの頃、それまで苦い飲み物だったチョコレートに、砂糖を入れる「発明」がなされています。

ですからスペインが中米を征服したころには、チョコレートは比較的飲みやすい味になっていました。

 

スペインにおけるチョコレートは、暖かい飲み物として普及します。

赤道直下の中米と比べると、スペインは「寒い地域」だからなのかもしれません。

しかしこの飲み物は、スペイン上流階級だけの「秘密の飲み物」であり、およそ一世紀の間は門外不出でした。

 

しかしその後、フランスのルイ13世がチョコレート好きのスペイン王女と結婚したため、フランスにもチョコレートがもたらされることになります。

 

さらにその息子のルイ14世も、同じくチョコレートの好きなスペイン王女と結婚します。

こうやって、スペイン王家からヨーロッパ全土へと、チョコレートが浸透していくことになります。

 

そして1828年、オランダのバンホーテンが、カカオからココアバターを分離する方法を発明します。

さらにその二代目は、アルカリを加えることによって酸味を無くし、水に溶けやすくします。

これにより、それまで油分でドロドロの液体だったチョコレートは、お湯に溶けたさらりとした飲み物になりました。

バンホーテンとはもちろん、有名ココアのブランドの、あのバンホーテンのことです。

 

これがイギリスに伝わると、今度は牛乳が加えられ、夕食後の楽しみとして普及します。

アフヌーンティーとは別のポジションに収まったわけですね。

紅茶を飲む喫茶店のように、チョコレートを飲むチョコレートハウスなるものが流行し、大衆化していきます。

 

1847年、イギリスにて、それまで取り除くだけだった油分のココアバターを、ココアパウダーと合わせて加工して、「食べるチョコレート」を発明します。

そして1876年、今度はスイスで、粉乳を加えた「ミルクチョコレート」が発明されます。

ここからようやく、本格的な固形チョコレートの歴史が始まるのでした。

 

国産チョコレートの第1号は、1878年に米津凮月堂によって作られました。

ただしこれは外国産チョコレートを加工した物で、カカオ豆からの製造は1918年、森永製菓によるものが最初です。

そういえば、「チョコレートはめ♪い♪じ♪」というキャッチフレーズがありますけど、元祖は森永じゃねえか。

何か、うまく騙された気分だわ。

 

先に書いたとおり、カカオ豆はまずココアバターとココアパウダー(非脂肪分)に分離されますが、このうちココアパウダーを使わないで作られたのがホワイトチョコレートです。

日本で最初にホワイトチョコレートを製造したのは、北海道土産のバターサンドで有名な六花亭でした。

ちょっと意外。

 

つまり、原料のカカオマスを脂肪分と非脂肪分にわけたあと、前者を使ったのがココア飲料、後者を使ったのがホワイトチョコレート、両方使うのがミルクチョコレートやダークチョコレート、ということですね。

 

でもここでまた、少しややこしい話をします。

いわゆるココアと、ホットチョコレートという飲料は、別の物だという定義もあります。

 

歴史上の順序で言えば、バンホーテンが今のココアの形を作り出した時点では、まだ固形チョコレートは登場していませんでした。

ですから、その当時は、チョコレートとはすなわち今のココアのことです。

そして現在も、アメリカでは大抵、ホットチョコレート=ホットココア、となっています。

 

しかしイギリスなどでは、ホットチョコレートといえばココアとは別物で、固形チョコレートが溶かし込んであります。

つまり、ココアバターが入っている、昔の形に近い物を指すようです。

 

特に、ヨーロッパ1番のチョコレート伝統国・スペインでは、今でもホットチョコといえばドロドロの飲み物で、中には温かくて柔らかい、半溶けの塊が入っているそうです。

これにチュロスを浸して食べるのが、伝統的な朝食なんだそうです。

おやつとしてはおいしそうですけど、朝からこれ食べて学校に行くのはちょっと抵抗がありますね。

 

それと、バレンタインデーにチョコレートを贈る習慣は、日本の菓子メーカーの陰謀だの騙されているだけだのと、よく言われていますよね。

でも本当は、19世紀のイギリスで起こった行事らしいです。

ただ、それを始めたのはチョコレート会社ですけどね。

 

それはいいのですが、その頃になると出回る外国産のチョコレートって、なんで国産に比べて味が悪いんでしょうね。

味が粗雑というかワイルドというか。

舌の繊細さにかけては、日本人が一番だと実感する瞬間です。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉

あすなろ91 鰹節(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2009.05号

 

口内炎ってのは嫌なものですねえ。

ほんと痛いですわ。

 

原因はわかっています。

先日、ケーキ材料用の、チョコレートを一袋買ったんですよ。

で、その三分の二くらいを、一夜にして一人で食べちゃったんですよ。

そしたらこれです。

チョコレートとは、本当に罪深い食べ物です

 

こういうとき、世の皆さんってどういう対策を取るものなのでしょうか?

 

私の場合は、その日の夜から減カロリーな食生活にチェンジしました。

食い過ぎて荒れたわけですから、要するに控えればいいわけですよね。

ならば、さしあたっては油分を摂らない食事にすればいいわけで。

でも別にダイエットをやっているわけではありませんから、炭水化物と蛋白質(たんぱくしつ)は必要分を摂っておきたいと。

 

さあこんなとき、頼りになるのはやっぱり和食ですね。

和食といっても、そんな大層なものの話ではありません。

身近なところからいけば、納豆と味噌汁と鰹節(かつおぶし)なんてあたりでどうでしょうか。

 

納豆の効能については、2年ほど前のこの紙面(2007/3・NO.65)に書いたことがありますので、今回は簡単にしておきます。

 

納豆は、大豆を菌に発酵させた食品です。

大豆はそもそも、牛肉に匹敵するほどの蛋白質を含んでいて、それを消化しやすい形にしたのが納豆だと思ってください。

もちろん、肉と違って脂分は入っていません。

 

さらに納豆にはビタミンやミネラルも豊富で、納豆菌は下痢と便秘を解消し、高血圧のリスクを減らす効能を持つという、まるで怪しい健康食品の宣伝文句並の、奇跡のような食品です。

 

納豆に限らず、大豆製品は基本的に、脂が少なくて高蛋白です。

ですからその点は、味噌汁も同じです。

豆腐も然り、油揚げも然り。

もちろん湯葉(ゆば)も同じです。

 

さて、次に行きましょう。

鰹節です。

 

鰹節といっても、出汁のモトという程度の認識の方が多いかもしれませんが、あれも実は結構すごい食品です。

 

鰹節は、もちろん魚の鰹(かつお)が原料です。

しかし鰹とは、刺身を見ればすぐにわかりますが、大変脂がのった魚です。

ところが、鰹節を出汁にした吸い物には、脂は全く浮きません。

どうなっているのでしょうか。

 

余談ですが、凡世界的には、スープの出汁といえば、主に動物の骨がらや魚を使います。

(ほぼ唯一の例外はトマトです)

もちろん、脂が浮きます。

中華料理や西洋料理、さらにはタイ料理あたりを見ても、そのあたりは共通です。

しかし、日本の代表的な出汁の素である昆布・干し椎茸・鰹節は、全て脂を出しません。

この点をみるだけでも、ガイジンが和食をヘルシーだといってありがたがるのがわかる気がします。

 

それはともかく、鰹節とは簡単に言うと、鰹の脂を細菌に分解させ、蛋白質をアミノ酸の「うまみ」へと変化させたものです。

 

鰹節は、鰹の身の表面に、「カビ」をつけて作ります。

伝統的にカビという呼び名を使いますが、鰹節菌という菌類、といえば、もうちょっとイメージが違うでしょうか。

納豆を発酵させるのは納豆菌、味噌や酒を作るのは麹菌、それと同類と解釈してください。

 

鰹につけられたカビは、鰹の身から、水分をどんどん吸収していきます。

ある程度日数を置いて、充分にカビを繁殖させたところで、一度カビを取り去って日干しします。

そして、またカビをつけて(二番カビ)、同じように表面で繁殖させます。

 

これを三番カビまで繰り返すと、内部はすっかり乾燥がすすんで、あの硬い鰹節ができあがります。

現在、大抵のものは三番カビまでですが、会社によっては五番カビ、七番カビまでつけるところもあるようです。

 

と、こう書くと簡単に終わってしまうのですが、実際ここに至るまでの手間は大変なものです。

ある製造過程を例に挙げてみます。

 

まず、三枚に下ろした鰹を煮るのですが、沸騰する寸前の94~96度を厳密に保って二時間~二時間半かけます。

次に骨抜きをしたら、薪(まき)で一時間余り燻(いぶ)して、三日休ませます。

それを十二回繰り返して、「荒節(あらぶし)」ができあがります。

ここに至るまで、約一ヶ月半かかっています。

 

次に、ようやくカビが登場します。

荒節の表面を削って余計な脂を落とし、形を整えたら、表面にカビをふきつけます。

カビは鰹の蛋白質をアミノ酸に分解し、水分を吸い出し、脂肪分を分解します。

カビが繁殖しやすい環境に二週間ほど置いたら、半日ほど天日干しして、表面を削ります。

これを繰り返して五番カビが終わる頃には、最初からおよそ半年が経過しています。

こうしてできあがったのが「本枯節(ほんかれぶし)」です。

 

これだけ時間と手間をかけてできる鰹節、これからは見直さなくちゃ~と思うでしょうが、少々お待ち下さい。

よく売られている「削り節」は、実は上記の「荒節」を削った物で、カビ付けを全くしていないものなのです。

本枯節からしてみれば、「手抜き」ともいえるシロモノなのでした。

 

最近では削り節のパック技術が高まったために、本枯節は贈答用か本格料理店以外では、ほとんど見なくなってきました。

では、「本物の鰹節」は自分で削るしかないのか、といえば、そうでもないようです。

 

普段見かける削り節は、裏の品質表示欄における名称が「かつお削りぶし」になっているはずです。

しかし、本物の枯節から作られる「削り節」は、「かつおぶし削りぶし」又は「かつおかれぶし削りぶし」になっているそうです。

後者二者は、少々呼び方が違いますが同じ物です。

昨年(2008年)の9月から、呼び名の規格が変わったので、現在でも二つが混在していることがある、というだけのことです。

JIS規格においては、二番カビ以上のものが、後者を名乗れるそうです。

 

今回、「市場調査」を行っていませんので、実際にこの近辺で「かつおかれぶし削り節」が手に入るかどうかわかりませんが、カスミジャスコで売っていなくても、学園のプルシエ(カスミ系・ララガーデンなど)に行けばある可能性が高いです。

何せ、「さいしこみしょうゆ」を売っていたくらいですから。

 

というわけで、ここしばらくかつぶしご飯を中心に食べていた私ですが、そういえば、口内炎には本当はどう対処するのがいいのでしょう?

わが家の医者に聞いてみました。

 

「普通は、口の中を清潔にしておく。

 ビタミンを摂るといいという話もあるけど」

 

え?だって俺が口内炎って言ってかつぶし食っていたときも何も言わなかったじゃな……

 

え―――――――――――――――――――。

 

え―――――――――――――――――――。

 

学塾ヴィッセ―――――――――――――――――――ンブルク あさく