2019年5月

あすなろ210 コーヒー

あすなろ

 
 
 
2019.04号

 
コーヒー大好きおじさんです。

なんか気付くと毎日毎日飲んでいますね。

でも私に限らず、日本のおじさん達はコーヒーが大好きなのです。
 
民族ごとの匂いというものがあるそうです。

体臭もそうですが、空港に降り立った時から、もうその国の匂いがするんだそうですね。

私は海外に行っていませんので知りませんが。
 
そんな話を外人さんに言わせると、日本と言えば醤油の匂いなんだそうです。

そして以前の日本人も、やっぱり醤油臭かったんだそうです。

しかし現在、日本人ビジネスマンといえば、コーヒーの匂いがするのだそうです。
 
ある市場調査会社が2013年に調査した結果では、16歳以上の日本人の64%が「コーヒーを毎日飲む」と回答したようです。

ただ、これ以上の詳細データは見つからないのでわかりませんが、調査対象を「仕事しているおじさん」限定にすれば、もっと割合が上がるんではないでしょうか。
 
というわけでした。

みんなコーヒーが好きなんですよ。
 
とはいえ、コーヒーを飲んでいる人の何割かは、眠気覚ましが目的だと思います。

要は、カフェインの摂取ですよね。
 
カフェインは、名前の通りコーヒーから発見された物質です。

これの効果は、ウィキペディアくんによりますと、
 


カフェインの主な作用は、中枢神経を興奮させることによる覚醒作用および強心作用、脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果、脳細動脈収縮作用、利尿作用などである。医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があるが、副作用として不眠、めまいなどの症状が現れることもある。


 
となっています。

はい。
 
……で終わりにするのもアレですので、ちょっと説明します。
 
ウィキペディアくんが「カフェインが中枢神経を興奮云々」と言っていますが、カフェインを摂取して眠くならない理由は、「睡眠を阻害」という作用が第一に効いているようです。

興奮作用も確かにあるのですが、それよりも睡眠を阻害する効果の方が大きいようです。
 
これはどうも、神経細胞のアデノシン受容体が関係しているようですね。

なるほどー、神経細胞のアデノシン受容体ですか-。

そうですかー。アデノシンねー。

へー。
 
……ったって、「アデノシン」なんて知りませんよね。
 
高校生で生物を取っている人だと、もしかしたらATP(=アデノシン3リン酸)の方で名前を聞いたことがあるかもしれません。

要は、ATPの材料です。
 
ATPってのは、体内のエネルギー通貨とも呼べるものでして……
 
詳しい説明は避けますが、生物が体内でエネルギーを運ぶためには必須となる物質です。
 
また、アデノシンは実はアデニン+リボースのことでして、つまりRNAにも使われている部品なんですよね。

(ここで生物選択の人は「へ~」と言うんだよ)
 
で、それはいいのですが、ではアデノシン自体は体内で何をするかというと、わかりません。
 
はい。
 
わかりません。
 
いや、本当によくわからないんですよ。

試しに生物学事典を2冊引いてみて、ネットでも調べたのですが、イマイチわからないんですよね。
 
ただし、カフェインの効能を説明するサイトによりますと、アデノシンってのは
 
「疲れが溜まってくると増えてくるもの」
 
であり、
 
「寝ると減るもの」
 
らしいです。
 
で、脳のアデノシンを受け止める部位が「アデノシン受容体」で、これにアデノシンがたくさんくっつくと眠くなる、と。

ところが、カフェインはアデノシンと似た構造をしているために、摂取したカフェインは、本来はアデノシンがくっつくはずの受容体にくっついてしまうと。

そうすると、アデノシンが受容体にくっつけなくなるので、眠くならない、と。
 


上:アデノシンが付くと眠くなる

下:代わりにカフェインがくっつく

→眠くならない


 
とにかくなんか、そういうシステムらしいです。
 
じゃあ、アデノシンなんてない方がいいのかというと、アデノシン配合のクリームが、老化によるシワ消しに使われていたりするみたいです。

ということは逆に、カフェインを取ると老けるのかといえば、そういう話はどこにも見つからないわけでして。
 
うーん。
 
なんかイマイチすっきりしませんが、ともかくカフェインはそうやって眠気を抑えるようです。
 
で、これについてはこれで終わりにしちゃってもいいのですが、一応私なりに少し考えてみました。

もしかしたらこういうことかな、と。
 


1.疲労がたまると、それを回復させるために作る「何か」(ATP?)の材料とするために、アデノシンを増産する。
 
2.生産されたアデノシンは、血液によって運搬。
 
3.脳の神経細胞が、運搬中のアデノシンを感知すると、「何か」の生産効率(または疲労回復効果)を上げるために、睡眠を命令する。

(または、その生産には多くの酸素・血糖を必要とするために、脳に回す血液流量を減らす)
 
4.眠くなる。


 
体内の他の生理的反応システムから推測する限りでは、だいたいこんな流れなんじゃないかなあと思うのですが、どうでしょう。

要は、「腹一杯になると眠くなる」と、似たような仕組みではないかと。
 
ともかく、そんなような仕組みによって、カフェインは眠気を抑えているとのことです。

そして、この仕組みを上手く利用することで、カフェインの効果をより効率よく発揮させる方法があるのだそうです。
 
これを「コーヒーナップCoffee nap」といいます。
 
やり方は簡単です。
 


コーヒーナップの方法
 
1.コーヒーを飲む。
 
2.すぐに20分間の睡眠を取る。
 
3.すっきり。


 
そしてその理屈は、こんな感じらしいです。
 


1.アデノシンが残ったままでカフェインを取るのは効率が悪い。(カフェインが切れると眠気が一気に来る)
 
2.コーヒーを飲んでからカフェインが脳に届くまで、つまりコーヒーがその効力を発揮するまでは、20分くらい時間がかかる。
 
3.だからその間に睡眠を取って、アデノシンを無くしてしまうのが良い。
 
4.ただし、睡眠時間が30分を超えると、眠りが深くなってしまうのでお勧めしない。20分で起きること。


 
このコーヒーナップですが、実験でデータを取ってみると、実際にミスが減ったり記憶量が上がったり眠気が減ったりと、色々と良い結果が出るようです。

以下は、
 
・コーヒーのみ

・昼寝のみ

・コーヒー+昼寝(コーヒーナップ)

・カフェインレスのプラシーボ(コーヒーと騙してカフェインレスコーヒーを飲ませた場合)
 
を比較した結果、コーヒーナップが最もよい結果が出ているというデータです。
 


just coffee:コーヒーのみ

decaf placebo:カフェインレスコーヒー(プラシーボ)

coffee+nap:コーヒー+昼寝

errors:ミスした数


decaf placebo:カフェインレスコーヒー(プラシーボ)

nap:昼寝のみ

coffee:コーヒーのみ

coffee+nap:コーヒー+昼寝


 
この時、より効果的にカフェインを取るためには、エスプレッソやアイスコーヒーを、短時間で一気に飲んでしまうのが良いそうです。

この2つは、共に濃いコーヒーですからね。
 
ところで、脳をすっきりさせるために20分の昼寝がいいという話は、私は中学か高校の頃から聞いて知っていました。

ですからこのコーヒーナップ、そこから考えても信用してもいいのではないかと思います。
 
試す価値はありそうですね。

そうですね。
 
……いや、本当はもう今すぐ試したいのですが、もうコーヒー飲んじゃったんですよね。

というわけでまた今度。
 
なお、カフェインはコーヒー以外にも、

紅茶・緑茶・チョコレート・ココア

などにも含まれていますが、数値を見る限り結局は、コーヒーに一番多く含まれているみたいです。
 
……レッドブル?
 
ああいうのはまた別ですので。
 
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義
 


 
2019.05追記

コーヒーナップ、何度か試しています。

こういうのは、比較対象が無いとどのくらい効率が上がったのかは結局わかりませんが、悪くないかと思います。

ただ私の場合、胃が荒れるのでブラックは避けるように言われていまして、必ず牛乳を入れて飲んでいます。

コーヒーには致死量もあるとのことですので、人によってはそういう注意も必要かと思います。
 
あとですね、カフェインの効果は4~5時間持続するとのことです。

ということはつまり!
 
 
これを4時間おきに繰り返し続ければ、1日の睡眠時間は
 
20分×6=2時間!
 
で収まる!
 
すげー俺天才!
 
 
……ってわけにはいかないということは、もう学びましたので大丈夫です。
 
ほんと、よーくわかりましたから。
 
 
当たり前ですよね……はい……。