2018年4月

あすなろ191 乗り物酔い論(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2017.09号

 

車酔いの話です。

持論展開です。

 

多分、10年くらい前のことです。

運転免許センターで、ドライブシミュレータというものを体験したことがあります。

でっかい画面の前に座って、アクセルを踏むとその通りに画面が進んでいきます。

時々人や車が飛び出してくるので、ブレーキをかけたり回避したりしながら指定のルートを進むというものです。

 

酔いました。

いわゆる3D酔いというやつです。

めっちゃ気持ち悪くなって、最後までやっていられませんでした。

 

さて、その話自体はそこで終わりなのですが、その後何日か、ずっと考えていました。

 

どうして気持ち悪くなってしまったのか。

どうして乗り物酔いと同じ事が起こったのか。

この二つの共通点は何か。

 

インターネットでも探してみたのですが、当時のネット上にはそれを納得させる情報はありませんでした。

仕方が無いので、また自分で考えます。

 

で、行き着いた結論。

 

「乗り物酔いも3D酔いも、目から入る情報と、実際に体にかかるGにギャップが生じるために起こる」

(G=加速度)

 

つまりですね、例えば回転運動の場合。

 

普通ならば、体が回ると、体が回転を感じると同時に、周囲の景色も回るわけです。

しかし、目の前に広がる景色が動いていないのに体は回転を感じたり、

また逆に体は回転を感じていないのに目の前の景色が回ったりすると、気持ち悪くなってしまう、

……ということなのです。

 

バスに乗っている時ならば、

目の前に広がっている車内の風景は固定されているのに、体は加減速や回転を感じるから、車酔いをしてしまう

というわけですね。

 

しかし当時は、確認のためにネットを調べてみても、私と同じ考えはありませんでした。

 

さて、今。

 

ネット上を調べると、先述の俺説と同じようなこともチラホラと書いてあります。

世間が追いついたのか、当時から同じ説はあってもネット上に上がってなかっただけなのか、もしくは私がかつて、ネット上のどこかに書き込んだのが研究者の目に留まった?

 

……ってことはないか。

 

まあともかくも、私が10年前に考えたことは、どうやら間違ってはいなかったようです。

 

という理屈ですので、一般的な乗用車の場合は、前方の見えにくい後部座席の方が酔いやすくなります。

もちろん横は見えますが、横の流れる景色を見ていても、カーブの様子はわかりません。

ですから、時々見かけるアドバイスの「遠くの景色を眺めるなどすればよい」は多分、効き目が薄いと思います。

 

前方が見えにくいといえば、乗用車よりもバスの方が、バスよりも電車の方が、より見えません。

しかし実際には、電車よりもバスの方が酔いやすいように気がします。

何故か。

 

電車に乗った際に体に感じるのは、主に加減速ばかりです。

しかし自動車は、右左折時などに回転が度々加わるところが電車と決定的に違います。

自動車の方が酔いやすいのは、恐らくその差では無いかと思います。

 

というわけで、陸上の交通機関で一番酔いやすいのはバスである、と結論づけちゃうことにします。

まあ実際には、新幹線にも酔う人はいるのですが、乗る時間が長いとそれだけ酔いやすいからなのでしょう。

ですから、長距離乗らなければいけない観光バスともなると、運転手が下手なら最悪です。

 

特に、最近時々見かける、後ろの窓が無いバスの後部はヤバいです。

それで運転手が下手だったりした時には、100メートル走った時点で、正直言って降ろして欲しいと思いました。

 

そんな、何らかのハズレに乗ってしまってマジでヤバいと思った時。

とりあえず何の用意も無しにすぐに実行できるのは、「目を閉じる」ことでしょう。

 

結局、目と体のギャップを感じなければいいわけですから、目から情報を入れなければ、とりあえずは耐えられるようになります。

先に書いた、100メートルで窓を蹴破って飛び降りたくなったバスの時も、目を閉じてひたすら2時間耐えました。

あれはほんとヤバかったです。

もう帰らせてくれと思いました。

帰りのバスでしたが。

 

ただし、目を閉じたからといって「すっかり快適」とはなりません。

あくまで緊急用です。

というのも、目を閉じたとしても、バスの音や匂い、乗り心地、というものを、体が覚えてしまっているからです。

そのためなのか、それとも誰も思いつかないのかわかりませんが、ネットでざっと調べた限りでは、「気持ち悪いときは目を閉じろ」とは誰も提唱していないようです。

 

……というのも、乗り物酔いに関して書かれたほとんどのサイトが、酔い止めを販売している薬メーカーですので、もしかしたらあんまり簡単に対処できる方法は、知っていても載せていないのかもしれません。

 

あともう一つ。

こちらは理屈ではなくて経験的に覚えた方法として、「揺れに抵抗しない」というのもあります。

 

逆をやってみればわかります。

車の後部座席やバスに乗った時に、右に曲がる時には右に体を傾け、左に曲がる時には左に傾け、と、要するに遠心力に抵抗するように体を傾けていると、カーブが多い道では結構簡単に気持ち悪くなってきます。

ですから、右に曲がるときにはGに逆らわずに左へバターン、とかやっていれば、気持ち悪くなるのをまあまあ回避できます。

 

多分これは、頭の移動で景色が動くことで、感じるGを目で確認しているから、体感とのギャップが減るのでしょうね。

憶測ですけど。

 

ところで、我々は二次元空間を這いずって生きる生物です。

日常的に、前後左右の加減速や左右の旋回はよく体験しますが、上下動にはなかなか慣れません。

 

船酔いがクルマよりもヤバいのは、きっとそこに根本的な原因があると思います。

 

だから、エレベーターの動きも、本当はかなり危険なはずなんですよね。

普段、すぐに終わってしまうから平気なだけであって、これがもし、ドアが開かないまま連続で上がる・下がる・上がる・下がるという動きを繰り返し続けたら、きっと中にいる人は残らず滅びてしまうことでしょう。

(これ、悪い奴を捕まえるのに使えるかも)

 

逆に、上下の動きにも、もっと慣れてしまえば、きっと酔いにくくなります。

 

本当かわかりませんが、器械体操をしている人たちは、そういう動きに慣れているために酔いにくいなんて話も見ました。

これがもし本当なら、ブランコで限界まで高くこぐなんてことも、良いトレーニングになるかもしれませんね。

 

最近は、小学校ではブランコ立ちこぎ禁止とか言われちゃうらしいのですが、立ちこぎならば、より簡単に限界トレーニングができます。

実は、立ちこぎは正義だったのです。

 

……ブランコトレーニング説は、もちろんネット上にはありませんです。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義

あすなろ137 ベーコン(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2013.03号

 

先日、知人との雑談の中に、ベーコンは生で食べられるかという話が出てきました。

で、そもそもベーコンって何か?

薫製(くんせい)でいいのか?

ハムは?

ソーセージは?

という話になってしまったので、調べます。

 

まずベーコンからいきます。

ベーコンとは、

 

「豚肉の塩漬けの薫製」

 

が正解でした。

 

ちなみに、同じような製法で薫製しないもの、もしくは軽く薫製しただけのものをパンチェッタといいます。

ベーコンは汎世界的に好まれていますが、パンチェッタは基本的にイタリア料理に使われます。

 

さて、生食できるかどうかですが。

 

薫製されている以上、そのまま食べられるはずです。

薫製=加熱調理ですから。

ただ、普通はあんまり生で食べないですよね。

 

ベーコンの調理法について、色々と調べてみました。

とりあえず、日本語のサイトでベーコンサラダ、BLTサンドからベーコンアイスクリーム、ベーコンドーナッツ、チョコレートベーコンまで調べてみたのですが、生のままで食用にはしていないようですね。

スープに入れるとき以外は、炒めるのが原則のようです。

 

また、ニッポンハムにインタビューした記事によれば、ウインナーもベーコンも、別に生食してかまいませんよ、とのことです。

ですから、少なくとも日本ので加工されたベーコンに関しては、生食しても大丈夫かと思われます。

なんせ、世界一正確にモノを製造し、世界一法令を遵守する日本のメーカーが、世界一厳しいといわれる日本の食品基準を満たしているわけですから。

 

日本人以外の人たちはどうやって食べているのか、一応、海外のレシピ投稿サイトも見てみました。

が、ベーコンジャムとかベーコンフライドバナナとかベーコンブラウニーとかアップルベーコントマトスープとか見ていたら、何かもう、色々な事がどうでもよくなってきました。

 

「ベーコンとカニのパンプディング」のレシピに至っては、「シェフのコメント」として「母の日にお勧めですよ」なんてことまで書かれています。

何を言い出すのかと思って、調理動画まで見ちゃいましたよ。

細かくした食パンを、プリン液にひたして焼いたものをパンプディングというのですが、それを焼く前に、細かくして炒めたベーコンとカニを混ぜ込んでいました。

どんな味になるのか想像もつきません。

 

実は、アメリカやカナダには「ベーコンマニア」と呼ばれるベーコン好きが数多くいて、ベーコン集会を開いたり、オリジナルベーコン料理のレシピを発表したりしています。

さらに、ベーコン共和国を宣言したり、ベーコンのコスプレをしたり、ベーコンで作ったブラジャーを着けたり、ベーコンアートを作ったりと、こういう悪ノリを始めたら我々日本人にはかないません。

西洋人の独擅場(どくせんじょう)ですね。

 

このままではベーコンで話が終わってしまいますので、ハムに話を変えます。

 

実は、ハムは限りなくベーコンに近い食品です。

ベーコンを作るには主に豚バラ肉を使いますが、代わりに豚もも肉を使うのがハムです。

これを塊のまま塩漬けにしたのが生ハム(プロシュートなど)です。

生じゃないハムは、さらに薫製にしたあと、スチームやボイルをして仕上げます。

作り方はベーコンに似ているのですが、最後のボイルがある分、ベーコンほど薫製の風味は残っていません。

 

以上が、「本来のハム」の話です。

日本においては、もうちょっと加工の進んだプレスハムが一般的です。

大きさが統一されているハムは、基本的にみんなこれです。

豚肉以外に、卵、牛乳、大豆などから由来する蛋白を使って成形しているので、安く量産できます。

 

また、よく見かけるロースハムは、名前の通り豚ロースを使っていますので、本来のハム=豚もも肉という名称からは、すでに違うものになっていると言えます。

チキンハムや魚肉ハムに至っては、すでに豚肉でも無いわけですが、アメリカにも七面鳥ハムturkey hamというのがありますから、そんなに定義に神経質になる必要もないでしょう。

 

豚ももを使ったハムは、普通はボンレスハムと表記されています。

これは、骨付きのハムに対して、骨born無しlessのハムという意味です。

確かに……。

今まで全く気付いていませんでした。

 

塊の肉を使わずに、豚の挽肉を同じように加工したものがソーセージです。

いわゆる腸詰めという名の通り、本来は動物の腸に詰めてから薫製やボイルで加熱したものですが、現在では腸以外のものに詰められているものも多いようです。

 

ソーセージの中でも、羊の腸を使用したのがウインナーソーセージ、豚の腸ならフランクフルトソーセージ、牛の腸ならボローニアソーセージと呼ばれています。

上記の腸の太さはそれぞれ違うので、本物の腸を使わないソーセージも、細い(二〇ミリ未満)ものがウインナー、太め(二〇ミリから三六ミリ)がフランクフルト、もっと太い(三六ミリ以上)とボロニアと表記されています。

 

ここで、どうせなら本物の腸を使ったソーセージを選んでみたいところですが、原材料欄を見ても、残念ながらその違いはわかりません。

羊の腸を使っていることを売りにしている筑波ハムのウインナーも、肉っぽい原料は豚肉、豚脂肪だけでした。

原材料表示に関して、法律がどうなっているのかわかりませんが、今から食品衛生法を読破したくはありませんので、まあ仕方ないでしょうね。

 

ソーセージといえばドイツ料理のイメージが強いですが、腸に挽肉などを詰める加工法は、ドイツ以外でも世界中にあるようです。

西洋諸国以外でも、中国、タイ、モンゴル、朝鮮半島、台湾にも同様の加工法がありますので、そういう伝統料理を持っていない日本の方が、むしろ少数派なのかもしれません。

 

また、ソーセージと同様に腸詰めした挽肉を、乾燥熟成したものがサラミです。

 

サラミといえば強い香辛料のイメージがありますが、本来のサラミは豚挽肉に塩、ラード、ラム酒くらいしか混ぜられていないものだったようです。

 

ところで、この手の加工食品には、食品添加物がつきものです。

特に発色剤が好きではないので、基本的に我が家ではハム、ソーセージ類は滅多に買いません。

(完全禁止令を出しているわけではないので、パンに入っている場合や外食などでは許可しています)

 

ですが、上記の筑波ハムによりますと、発色剤にはいわゆる発色作用だけではなくて、食中毒防止効果や、ハム独特の発味、芳香を出す効果まであるのだそうです。

そうだったのか。

 

今度、筑波ハムに買いに行くか……

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義

 


おまけ その1

ここからは、ベーコン狂のキチガイっぷりをご覧ください。

 

メイプルベーコンのカップケーキ

 

ベーコンチョコチップクッキー

 

ベーコンチョコブラウニー

 

ベーコンワッフル

 

ベーコンチップドーナッツ

 

ベーコンサンデー

 

ベーコンバーボン

 

ベーコンマティーニ

 

ベーコンチーズバーガー

 

ベーコンキャンディー、ベーコンキャラメル、ベーコンロリポップ、ベーコンビーンズ、ベーコンミント、ベーコンガム、ベーコンソーダ、ベーコンシロップ、ベーコンクリームなどの通販サイト

 

ベーコンブラ

ベーコン風衣装

 

ベビーフードベーコン味

 

ベーコンキャンドル

(匂いだけかいでどうしようってんだろ?)

 

そして以下が、ベーコンアートの数々……

なのですが、これ、ほとんどがベーコンを巻き付けただけじゃね?

 

「bacon」で画像検索すると、まだまだ出てきますよ。

 


おまけ その2

ベーコンエクスプロージョンbacon explosionというものがありましてですね、

 

材料

薄切りベーコン……2ポンド(910g)

イタリアンソーセージ……2ポンド

バーベキューソース……1瓶

香辛料……適宜

 

1. ベーコンを編んで、生地を作ります。

2. その上にソーセージをばらまいて、バーベキューソースをかけます。

3. ベーコン生地でソーセージを包んで、フットボール大に丸く編み上げます。

4. 香辛料をふりかけて、一時間くらいかけて焼き上げたらできあがり。

5. 最低でも5000kcalはあるそうです。さあ召し上がれ。

 

ちなみに、アメリカ人の肥満率は世界でも突出しています。

あすなろ125 ご先祖様(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2012.03号

 

我が家では、よく市の図書館から本を借りてきます。

そしてたまに、手許に置いておきたい本を見つけると、後日買ってしまうことがあります。

 

先日も、たまたま借りた本を娘(三歳)がいたく気に入ってしまって、まあ買ってもいいかなというようなものだったので、買ってしまいました。

 

 

『ビジュアル版 戦国武将大百科』

 

東日本編、西日本編、合戦編の計三冊。

 

毎晩寝るときに、これは誰と言いながらページをめくっていたら、絵を見て「とよとみひでよし」とか「ちょうそかべ」とか言うようになってきました。

四月から幼稚園です。

 

……どうなっちゃうんでしょう、この人。

 

まあ、それはともかくとして、そのあたりの時代の話は、私も嫌いじゃないです。

 

さて、この本には、私のご先祖様関連とされている人が、二人掲載されています。

いや、別に先祖自慢をするつもりではありません。

こういう話が好きな人が少なくとも一人いるので、ネタを振ってみようかと。

 

ご先祖様のうちの一人は、朝倉義景です。

私の中学の教科書には、

「織田・徳川連合軍が、朝倉・浅井連合軍を姉川の戦いで破った」

と、一行だけ載っていました。

今はどうかわかりませんが。

 

朝倉義景は、越前の戦国大名です。

越前は、今の福井県です。

義景が当主となったころ、朝倉家は、それなり有力な守護大名でした。

しかしその後、義景はチャンスを何度も逃し、家臣に逃げられ、滅亡します。

今や、戦国武将マニアからは、無能の代表選手扱いです。

 

室町時代中期、応仁の乱が起こります。

その頃、8代将軍足利義政(銀閣の人)は「諸国の沙汰は力次第」なんてことを言って、各大名の他国侵略を公認にしてしまったために、徐々に各地に戦国大名と呼ばれる勢力が現れてきます。

越前朝倉家も、応仁の乱の最中に分家して興った守護大名でした。

 

その後は「将軍=お飾り」という時代が続くのですが、13代将軍足利義輝の活躍によって、一時的に幕府の権威が復活します。

しかし、義輝はなんと御所の襲撃を受けて討ち死にし、将軍不在となってしまいます。

もちろん、幕府の信用は完全に地に墜ちます。

 

このころ、後の15代将軍である足利義昭は、個人的に縁のあった朝倉家を頼って来ていて、義景に、共に戦おうとしきりに持ちかけます。

しかし、義景は都に上ろうとしなかったために、義昭はあきらめて去っていってしまいました。

その際、それまで義景の元にいた明智光秀までもが、義昭と共に去って行きました。

 

明智光秀といえば、信長を殺した残念な人というイメージがあるかもしれませんが、実際は頭の切れる、かなり有能な武将でした。

信長の信用も厚く、京と安土を結ぶ重要拠点を任されたのが、光秀だったのです。

 

義景の元を去った足利義昭は、その後、光秀によって信長を紹介されました。

ですから信長は、将軍をバックにつけて京に乗り込むことができたのです。

 

義景があそこで決断していれば、最初に上洛した武将は朝倉家だったのかもしれないのです。

 

その後も、信長と対立した義景は、たびたび信長と対峙します。

信長軍は、朝倉に対しては決して無敵ではありませんでした。

実際、二度ほど信長は朝倉の前に敗走し、信長を討ち取るチャンスがあったのです。

しかしその度に、取り逃がしたり行動が遅かったり人任せだったりして失敗。

信長包囲網を考えていた武田信玄や足利義昭からは、さんざん恨み言を書かれた手紙を送りつけられています。

 

あげく、姉川の戦いで敗れて拠点を取られた為に、軍力はあっても戦術的に不利になっていきます。

そうしているうちに武田信玄が病死すると、信長は武田の心配が無くなったので、全力で朝倉を攻めることができるようになります。

そして信長の猛攻の前に朝倉軍は壊滅し、義景とその直系の血族は滅亡しました。

 

しかしその際、越前から逃げ出した朝倉の一族は、各地に散っていったとのことです。

落ち武者伝説と言えば平家のものが有名ですが、朝倉の末裔伝説も、怪しいモノも含めて全国に相当数があるようです。

まあ、私の家に伝わる話も、そのうちの一つですけど。

 

私が聞いたところでは、ご先祖様は伊勢まで逃れたあと、海を渡って渥美半島に辿り着いて、そこで百姓をやっていたということです。

そして江戸時代は、代々庄屋になったり没落したりを繰り返したそうです。

庄屋時代に掘った溜池の一つは、私の子供の頃まで残っていたとのことです。

 

そういう伝承ですので、子供の頃に親に「ウチの先祖ってどんな人?」と聞いたら、「戦に負けて百姓をやってた」と言われた覚えがあります。

確かにそうなんですけどね。

 

しかし家系図があるわけではありませんので、あくまで「自称」です。

そもそも、越前朝倉氏の家紋は「三つ盛木瓜(みつもりもっこう)」ですが、我が家の家紋は「丸に井桁(いげた)」です。

普通は同じ家系では同系列の家紋を使いますから、ちょっと怪しいです。

強いて言えば、輪郭は似ていますけど。

 

 

ただ、茨城に住むようになってから偶然知り合った同郷出身の人が、この朝倉家の伝説について

「高校の同級生が同じような話をしてた」

なんてことを言っていました。

ということは、末裔伝説は我が家以外でも伝わっているということで、伝説の存在自体は本当のようです。

 

ちなみに、私の三代・四代前の位牌を見ると、周囲の朝倉家の位牌が普通の井桁紋である中、我が家だけが組井桁(井桁とは微妙に違う)となっています。

私が推測するに、ひいじいちゃんが位牌を作る際に、「組井桁の方がかっこいいじゃん」という理由でウチだけデザインが変わったのではないか、と。

 

まあ、伝統なんて大抵がそんなもんですよ。

 

最初の話に戻りますと、戦国武将のご先祖様のもう一人は、家康の忠臣、本多忠勝です。

これは私の祖母の家系です。

 

……その話は、またの機会にでも。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義

あすなろ114 三種の神器(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2011.04号

 

三種の神器(さんしゅのじんぎ)というものがあります。

「天皇の証」ともいえるもので、天皇家に代々伝わってきました。

 

三種の神器といえば、中学生なら社会の歴史で「戦後の高度成長期に云々」という電化製品を思い浮かべるかもしれませんが、こちらは天皇家の三種の神器になぞらえて呼ばれただけの物です。

 

これと同様に、元ネタを忘れかけられて使われる言葉は他にもあります。

例えば、四天王とは本来、帝釈天を守る毘沙門天、多聞天、増長天、広目天のことを指す言葉です。

しかしマンガなどでは、何かに秀でた人が四人いれば、すぐに「なんやら四天王」とかつけられちゃっています。

読者は本当の意味をわかっているんでしょうかねえ。

 

三種の神器は、鏡、勾玉、剣の三つの宝物の総称です。

それぞれ、

 

八咫鏡(やたのかがみ)

八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)

 

と呼ばれています。

これらはすべて、神話に登場するものが、現在まで伝わっているということになっています。

 

天の岩戸の話は、もちろんご存じかとおも……

 

一応紹介します。

 

まず、国産みによって日本列島を作ったのがイザナギ、イザナミの男女二神です。

しかしイザナミは火の神を産んだときに焼死してしまいますので、それを悲しんだイザナギは黄泉の国へとイザナミを取り戻しに行きます。

結局これは失敗してしまうのですが、現世に戻ったイザナギは、黄泉の国の穢れ(けがれ)を洗い流します。

その時、生まれ出でたのが天照大神(あまてらすおおみかみ)と月読尊(つくよみのみこと)、素戔嗚尊(すさのおのみこと)という三神です。

イザナギは、尊い神が生まれたと喜び、この三神にそれぞれ昼、夜、海を治めさせることにします。

 

しかし素戔嗚尊は仕事を全くせず、それどころか天照大神の神殿を荒らし始めます。

荒らすといっても機織りの邪魔をするとか糞尿をまき散らすとか馬の死体を投げ込むとかで、血で血を洗う西洋の神話などとは比べ物にならないのですが、ともかくそれに嫌気が差した天照大神は、洞窟に籠もって、入り口を大岩で塞いでしまいます。

 

天照大神は太陽神ですから、閉じこもってしまいますと現世は闇に包まれてしまいます。

入り口の岩戸はピッタリ閉まっていて開きません。

そこで、残された神達は一計を案じ、岩戸のすぐ前で楽しそうなバカ騒ぎをすることにします。

 

岩戸の奥に籠もった天照大神は、自分がいない割に外の世界が楽しそうなことを不思議に思い、そっと外を覗き見ます。

するとそこに見えたのは、用意された鏡に映った自分の姿でした。

天照大神は、自分のような太陽神が他にもいるのかと思い、それを確認しようともう少し開けたところで岩戸を開け放たれ、とりあえず一件落着ということになっています。

 

これが天の岩戸のお話。

 

一方、その責任から、天界を追放されて地上に降ろされた素戔嗚尊は、偶然行き着いた村に出没する怪蛇、八岐大蛇(やまたのおろち)を計略にて退治します。

そしてその尾を切り落とそうとすると、何か硬い物に当たって剣が欠けます。

見ると、尾の中には一振りの剣が見つかります。

この剣を天照大神に献上することで、素戔嗚尊は許されます。

 

以上の話で、

 

岩戸の前に置かれて天照大神の姿を映した鏡が八咫鏡

その鏡と一緒に掛けられていたのが八尺瓊勾玉

八岐大蛇の尾の中にあったのが天叢雲剣

 

なのです。

 

この三つは、天孫降臨の……

 

天孫降臨というのはですね、神の子孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が地上の人間を統(す)べるために、要するに地上に降りてくることです。

そしてこの三つは、天孫降臨の際に瓊瓊杵尊に託されたもの、とされています。

それ以降、2000年以上の時を越えて、この現在まで伝わる物が三種の神器なのです。

 

神器は最初、全て宮中にありました。

しかし、八咫鏡はご神体そのものであるというところから、それを祀るための神社が建てられ、そちらに移管されます。

それが伊勢神宮で、過去も現在も、全国の神社の頂点にあります。

 

天叢雲剣も、宮中から伊勢神宮に納められるようになりましたが、大和朝廷が東国遠征をする際、日本武尊(やまとたけるのみこと)に、この剣を持たせます。

 

日本武尊はその道中、野火に囲まれた際、この剣にて草を切り払って、その難を逃れたということで、この剣は別名、草薙の剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれるようになりました。

しかし日本武尊はこの後、この剣を現地で結婚した姫に託したまま、山の神との戦いで命を落としてしまいます。

姫は、尾張の国に神社を建てて、この剣を祀ることにします。

それが名古屋の熱田神宮です。

 

一方、八尺瓊勾玉は、箱に収められたまま、常に天皇のそばにあったようです。

 

こうして伝わってきた宝物ですが、これだけ歴史が長いと、やはり存続の危機はありました。

その中でも特筆すべき事件は、平安末期の源平合戦の時のことです。

 

平家側は、親族でもある安徳天皇を連れて戦に出ていました。

安徳天皇は、当時八歳。

摂関政治のための、いいカモだったわけです。

 

源平最後の戦いである壇ノ浦の戦いでは、最後を悟った二位の尼が、安徳天皇を抱いたまま入水(じゅすい)します。

その時、この尼は三種の神器を持ったまま海に飛び込んだそうです。

しかし、箱に入った勾玉は水に浮いたために回収された、と言われています。

ここで、鏡も剣も一緒に沈んだとか、鏡だけは回収できたが剣は見つからなかったとか、剣は後に自ら浮かび上がったとか、色々な話がありますが、本当のところはわかりません。

 

しかし、この時代では既に、剣と鏡は共に、二つの神宮のご神体となっていたはずです。

したがって、実際に平家が壇ノ浦まで持ち運んだものがあったとしても、それは形代(かたしろ:儀式のために作られた複製品)だったのではないか、というのが私の考えです。

 

現在、これらの宝物は、天皇自身も見ることを許されてなく、「箱の中に入っている」ということしかわかりません。

 

江戸時代、熱田神宮の大宮司他数人が、こっそりと剣を見たところ、これを見たものは次々と死んだという話があり、最後に生き残った者が書いたという書物が今に伝わっています。

冷泉天皇は、勾玉の箱の紐を解いたところ、白い煙が出たためにとりやめたという話も残っています。

 

日本には、そんな物が公式に存在します。

 

私は、キリストの奇跡などの話を聞くと、その非科学っぷりに笑ってしまうのですが、日本も案外同じようなものなのかもしれません。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義

あすなろ22 グルタミン酸(過去記事)

あすなろ

 

 

 

2003.08号

 

前回、アミノ酸飲料について、朝倉的解釈をさせていただきました。

ついでですので、もう一つ、有名アミノ酸について、私なりの考察を書いてみます。

 

加工食品の成分表示のなかに、かならずと云っていいほど登場するのが「調味料(アミノ酸等)」と「香料」です。

これが二つとも入っていない食品と云うのは、今や本当に希です。

基礎調味料である醤油にも「調味料(アミノ酸等)」が入っているものはありますし、ペットボトルのお茶にも香料が入っていることがあります。

 

ご存じの方も多いと思いますが、「調味料(アミノ酸等)」の正体は、主にグルタミン酸ナトリウム(MSG)と核酸などの混合物です。

簡単に云うと、「味の素」+αです。

化学調味料のことです。

一時期は、安全性についていろいろ云われていたこともあるようですが、現在では特に問題ないとされているようです。

 

安全性について、いろいろ調べてみました。

安全性に対する記述がある時には、大抵「危険派」の意見になるようです。

安全だと思っている人はわざわざ主張しないから、どうしてもそうなってしまうのでしょう。

しかし「買ってはいけない」の例(*)もありますので、安全性に関して討論しているウェブサイトを参考にしてみました。

*かつて、怪しい論理で危険性ばかりをあおって売れた本の名称です。

 


・危険派(問題提起)

 

①動物実験によれば、大量摂取により神経に異常がみられ、死に至ることもある。

 

②中華料理症候群~大量摂取した人たちに頭痛や舌のしびれが起こった~の例にある通り、
人体にも影響を及ぼす実例がある。

その他、アレルギーを示す実験の報告がある。

 

③アメリカでは現在、二ヶ月までの乳児に与えることを禁じられている。

妊婦に与えないほうがいいとしている病院もある。

この事からも、毒性をもつことがうかがわれる。


 


・安全派(反論)

 

①動物実験で使ったMSGの量は異常なほど大量(人間で云うと一度に一瓶より多い量)で、
方法も経口でなく皮下注射であるため、データとして全く使えない。

味の素一瓶を一度に皮下注射したら、どこかおかしくなって当たり前。

これとは別に、人間換算で一日あたり一瓶近くを、マウスに二年間毎日経口投与した実験もあるが、
こちらでは異常が認められなかった。

(マウスにとって、二年間はほぼ一生分)

もちろんMSGに限らず、どんなものでも過剰摂取すれば毒になる。

 

②状況を再現した実験をしてみたところ、結果にあまりにもばらつきがあり、
MSGが原因であるという結論を出すことができなかった。

また、「アレルギーを起こす場合がある=毒である」と云うのなら、蕎麦も卵も牛乳も毒と云わざるをえない。

蕎麦で死者はでるが、MSGで人が死んだとは聞かない。

 

③乳幼児は体各部の構成が未熟なため、月齢に応じて過剰摂取を控えた方がいいものがある。

乳児は脳関門が未熟で、グルタミン酸は脳内の神経伝達物質であるために、
脳に入りすぎるのは危険ではある。

しかし、母乳にもグルタミン酸は含まれており、一切摂ってはいけないものではない。

確かにそれを明記しない企業にも問題はあるかもしれないが、だからと云って毒扱いは短絡的すぎ。


 

はい。

結論が出たようです。

MSGは体に悪いものではない、らしいです。

安心してどんどん摂取しましょう。

 

 

 

じゃなくて。

 

 

 

実は、私は化学調味料の入った食品を食べると、少々喉の奥が腫れます。

どうやらアレルギーのようです。

しかし、昆布ダシの料理(天然のグルタミン酸入り)では何ともありません。

摂る量の違いなのか、天然物と化学調味料とは何かが違うのか、そのあたりはよくわかりませんが、「アミノ酸等」は、あまり積極的には食べないようにしています。

 

私がそうだから、と云うわけでもないのですが、自分の子供(0歳・2歳)には「アミノ酸等」と「香料」を極力与えないようにしています。

微妙な感覚が麻痺するのが恐ろしいからです。

香料は特にそうですが、要は味を「騙して」いるわけですよね。

もしくは、無理ににおいを「濃く」しているということでしょう。

 

塩分の多い食事になれてしまうと、薄味の料理の味がわからなくなってきます。

それと同じで、子供の頃から「きつい味」になれてしまうと、繊細な感覚がなくなってしまいそうな気がしています。

そういう意味では、麻薬的な要素もあるのかもしれません。

逆に、普段から摂らないようにしていると、入っていれば味でわかるようになります。

いつもこう有りたいと思っています。

 

かく云う私も、学生時代には化学調味料を大量摂取致しました。

単体では買ったことがないのですが、30食1080円也の安いラーメンを、毎日毎日食べ続けました。

きっとかなりの量の化学調味料を食べさせて頂いたことでしょう。

その結果が今のアレルギーなのかもしれません。

カミサンには、

「一生分のグルタミン酸を食べ終わってしまった人」

と云われています。

 

ついでに、缶コーヒーも一生分飲み終わってしまったらしいです。

以前の職場(肉体労働)では、一日に何本も飲んでいましたが、ある日を境に、突然、においが気持ち悪くなってしまいました。

それ以来、もうダメです。

 

要は、何でも摂りすぎは良くないよ、と。

 

それにしても、香料とアミノ酸等は、本当に何にでも入っています。

これを全部避けるのは至難の業と云えましょう。

それでも、意識して成分表示を見るようになれば、と思っています。

 

ところで、参考までに。

 

「無添加醤油」の成分表示に、「酵母エキス」とあったら、「精製前のグルタミン酸を入れたんだなあ」と思ってください。

法律上、精製前ならば「アミノ酸等」と表示しなくてもいいらしいんです。

 

世の中信用できないことが多くて困ります。

ほんと。

 

学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義