2018年4月
あすなろ28 日本における世界一(過去記事)
2004.02号
年が明けました。
大相撲も始まりました。
先場所の開幕中は、「大相撲ダイジェスト」のない空しい毎日を過ごしたわけですが、今場所からなんと、それに代わる番組が始まったではないですか。
しかもNHK様自ら。
いやいや、ありがたいことです。
その名も
「大相撲 幕内の全取組」
……。
この、そのまんまの番組名。
素敵すぎます。
ここまでハイセンスな番組名には、なかなか出会えるものではありません。
しかし、内容は申し分なし。
「大相撲ダイジェスト」は、放送時間が短くなる度にセットをいじって、なんとか見た目で勝負しようとしていましたが、こちらは夕方の中継を編集しただけ。
見たいのは相撲なんだから、これでいいんですよ。
さすがはNHK様、わかってらっしゃいます。
ところで、この番組の前に、ニュースが放送されます。
その日も「全取組」を見るべく、前番組のニュースを見ながら、正座して待っていました。
するとニュースの中で、
「それでは大相撲初場所、本日○日目の結果です」
……は?
ちょちちょっとまった!
テレビオフ!
危なかった。
もうちょっとで楽しみが減るところだった。
勘弁してくれって。
NHKちゃん。
お願いですからもうちょっと考えて構成してね。
横綱の朝青龍、今場所は余裕があっていい感じです。
その辺は観客にも伝わっているみたいで、「日本一!」なんて声もかかっていました。
モンゴル人の彼としては複雑なところかもしれません。
相撲なんだから、日本一=世界チャンピオンです。
どうせだから、誰か「世界一!」って云わないかなあ。
掛け声のセンスとしてはアレですけど。
そういえば、千葉県の小見川あたりを自転車で走っていたら、「世界一の納豆工場」という看板を見ました。
確かにそのとおりなのかもしれませんが、なかなか大胆で素敵です。
そこまではアレですが、身近なところにも、結構こんな風に「世界一」のモノってあるんですよ。
あるんですって。
例えば、この近辺にもいるオオスズメバチ、あれは実は世界一大きいハチです。
もちろん毒の強さも世界一。
オオスズメバチはほかのハチの巣を襲うことでも知られていますが、他の国にはそんな獰猛な習性を持つハチはいません。
大きい昆虫と云えば、沖縄・与那国島他にいるヨナグニサンも、世界一大きいガです。
一般的に、昆虫は南方に行くほど大型化するので、大抵は赤道直下の昆虫が最大です。
従って、この二種は珍しいパターンです。
ところで、日本が誇る世界一と云えば、普通は長寿とかロボット技術などが取り上げられます。
他にも世界一長いトンネル(青函トンネル)とか、世界一長い吊り橋(明石大橋)とか。
そういう「メジャーなもの」以外の、意外に思えるような世界一が、思ったよりもあります。
挙げてみましょうか。
●鰹節=世界一堅い食品
他にも堅い食べ物はあります。
中国の乾鮑(カンパオ=干しアワビ)は、堅くてそのままでは食べられません。
ヨーロッパの干し肉も、そのままではかなりの堅さです。
しかし、機械で圧力をかけて測定すると、圧倒的に鰹節が堅いそうです。
乾鮑と干し肉は、一定の圧力がかかるとぐにゃっと曲がってしまいますが、鰹節は一定の力がかかると、ものすごい音を発して『バーン』と割れます。
(東京農大教授・小泉武夫氏の文より)
だそうです。
鰹節の作り方だけでも一話できちゃうのですが、確実に話が長くなるので割愛します。
(後に書きました→あすなろ91)
●打ち上げ花火=世界一華麗
打ち上げ花火自体は、確かに他の国にもあります。
あるにはあるのですが、ショボいんです。
色も大きさも。あんな華やかな色の、あんな大玉が、あんなきれいに丸く揚がるのは、日本だけです。
違いは、打ち上げる玉の構造にあります。
日本の花火玉は、球形をしています。
その中には、「星」と呼ばれる小さな球状火薬が並べられています。
そしてさらに、この「星」の中も、ちがった色の出る火薬が層になっています。
「星」が、中央の割り火薬の爆発力で四方八方にとばされ、光の色を変えながら丸く咲くので、あんな綺麗な花火になります。
これに対し、外国の花火玉は円筒型です。
中に入っている火薬も、凝った色を演出しようとしていないので単調です。
もちろん変化に乏しく、また丸く広がらないので立体感に欠けます。
日本の花火玉は世界で認められ、現在80余りの国に輸出されています。
毎年10に、土浦で全国花火競技会が開催されています。
あれはまさに、世界一の大会ということになります。
●積雪=世界一雪の深い国
世界一の積雪量は、日本で観測されています。
これ、知らない人も多いと思います。
私も最近まで知りませんでした。
現在、最深積雪の世界記録は、滋賀県伊吹山の11m82cmです。
1927年2月14日に観測されました。
二位はカリフォルニア州の11m53cmです。
実は、日本という国は、世界的にも有数の豪雪国です。
この頃になると、新潟で「一晩で1メートル」なんてニュースが流れてくる頃ですが、こういう国はそうありません。
雪の量は、気温だけでは決まりません。
日本国内でも、北海道の方が寒いのに、新潟の方が雪が多いですよね。
これには地理的な理由があります。
まず、雪が降るには、空気中に水蒸気が多く含まれている必要があります。
そういう空気が山に沿って上昇して、気温が下がると、空気中に含まれることのできる水蒸気の量(飽和水蒸気量)が減って、あふれた分が雪(気温が高いときは雨)になります。
空気は、海や大きい湖の上通過すると、多くの水蒸気を取り入れることができます。
水を含んだ直後に山があれば、雪を多量にふらせることができます。
そういった条件を満たす風が吹くのは、日本では北陸地方にあたるわけです。
(大陸→日本海→日本アルプス)
他にも、アメリカのカリフォルニアや、スカンジナビア半島などが、同様の理由で豪雪地帯となっています。
ただ、同じような気候でも、日本の北陸ほど、多くの人が高密度で住んでいるところはありません。
さらに、重い雪質まで考え合わせると、北陸は世界一の豪雪地帯とも云えるでしょう。
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義
あすなろ198 身近なブランド
2018.04号
この「あすなろ」は、月謝発行から1ヶ月遅れで塾のサイトにアップしています。
しかし最近、塾のサイトをスマホ対応にリニューアルしたら、過去の記事が使えなくなってしまいましたので、ここの所はヒマを見つけてはボチボチとアップしなおしています。
そんなわけで、昔の記事をまた読み直す機会が増えているのですが、そんな中でNO.170(2015.12)を見たら、
『シルバーストーンのフライパンにご飯をあけて』
なんて記述を見つけました。
当時、特に何も考えずに当たり前の言葉として使ってしまったようですが、シルバーストーンって言われても、少なくとも高校生以下にとっては、きっとあまり一般的な用語じゃ無いですよね。
何のことだかわかります?
これは、フライパン内面のコーティングの商標です。
あの黒いツルッとしたアレです。
昔々の鉄そのもののフライパンに対して、コーティングされたフライパンが登場した当初は、「テフロン加工」と呼ばれていました。
そして次に、そのバージョンアップとして「シルバーストーン」が出たわけですが、今ではコーティングがすっかり当たり前になってしまったので、もうそんな呼び名はすっかりされなくなってしまいましたね。
フライパンそのものも、今や一般家庭では、鉄製のものなんてほぼ見かけなくなりました。
みんなアルミです。
そんなアルミのフライパン、我が家には大小合わせて4本あるのですが、全て北陸アルミニウムというメーカー製です。
この手の物と言えば韓国製中国製が席巻する中、我が家のフライパンは全て日本製です。
でも、大抵の人はそんなブランド知りませんよね。
そこで今回は、この手の
「普段は意識したことの無いようなブランド」
を、あえて紹介してみようと思います。
1.北陸アルミニウム(hokua)
先述の通り、我が家のフライパンがここの製品です。
また、たまたま実家からもらった圧力鍋もここ製でした。
創業は昭和5年。
本社は富山県。
調理器具以外にも、建材や工業製品を作っているようです。
フライパンでは韓国や中国製造の製品も扱っていますが、上位モデルは日本製です。
長持ちするフライパンが欲しかったら、ティファールかここの製品が一番確実です。
※個人的には、ティファールの外れる取っ手は、金具が洗いにくくて嫌いです。
ここのフライパンは、以前はホームセンターでも普通に見かけましたが、最近は中国製しか並ばなくなってきてしまいましたので、今や買うとしたら通販となるのでしょうか。
私も最後に買った時は楽天経由でした。
2.カリモク(Karimoku)
国内家具メーカーのトップです。
我が家のこたつ兼卓袱台(ちゃぶだい)がカリモク製なのですが、タンスは残念ながら違います。
創業は昭和15年。
ブランド名は「刈谷木材」を略したものです。
刈谷とは愛知県刈谷市を指しているのですが、現在の本社は、刈谷からは少し外れた位置にあるようです。
製品は、国内工場で生産された国産品です。
マレーシアにも部品工場はあるようですが、中国とは縁が無いようです。
そういう意味でも非常に信頼できる会社なのですが、その分少し高めですので、家具の量販チェーンなどでは少量しか見かけません。
3.パロマ(Paloma)・リンナイ(Rinnai)
ガス器具メーカーの国内トップ2です。
我が家ではガスコンロがリンナイ製、ガス炊飯器がパロマ製です。
特にガス炊飯器はずっとパロマで、現在使っているのは3台目です。
創業は、パロマが明治44年、リンナイが大正9年です。
共に愛知県名古屋市の会社で、ずっとパロマの後をリンナイが追う形だったのですが、パロマが湯沸かし器の死亡事故(2006年)を起こしたことをきっかけに逆転したようです。
リンナイは、つくば市の北部工業団地にもビルがありますね。
工場には見えないので、どうも研究施設のようです。
なお、石油器具関係でいうならば、我が家の灯油ボイラーと灯油ストーブがコロナ製です。
コロナは、堰結暖房器具トップのダイニチと共に新潟県三条市のメーカーで、こちらも同郷ライバルとなっています。
4.象印マホービン・タイガー魔法瓶
象印は大阪府大阪市、タイガーは大阪府門真市で、こちらもまた同郷2大メーカーです。
メーカー名を比べて見て頂くとわかるのですが、象印は漢字+片仮名、タイガーは片仮名+漢字をメーカー名としています。
創業は、象印が大正7年で、今年2018年は創業100年です。
タイガーは少し後の大正12年創業です。
その後は魔法瓶(保温ポット)の2大メーカーとして発展して、1970年にタイガーが電子炊飯ジャーを発売すれば同年に象印からも発売されたり、エアーポットは象印が1973年、タイガー1974年、電気ポットは共に1980年と、ずっと2大メーカーであり続けました。
現在、この会社名を見かける機会は、炊飯器とステンレスボトル(保温式水筒)が多いかと思います。
ステンボトルといえば、特許の関係なのか各メーカーのパッキンの形状がバラバラで、洗う方としては非常に面倒なことになっていると思います。
しかしその中で、象印とタイガーは面白いことに、形式がほぼ同じなんですよね。
だからと言って、互換性があるわけではないのですが。
こんな所までライバルなのかー、なんて思ったことがあります。
なお、ステンボトルといえば、他にピーコックやサーモスの製品も見かけますが、共に日本のメーカーです。
また、サーモスはステンボトルのシェア世界一です。
5.ノリタケ(Noritake)
どうも案外知られていないようなのですが、世界的に有名な陶器のブランドです。
私も何年もの間、塾でノリタケのコップを使っていたのですが、1年ほど前に割ってしまいました。
(今のコップはリラックマです)
創業は明治37年。
戦前から海外でも名を知られていて、戦前のものはオールドノリタケと呼ばれて骨董扱いされています。
現在も、国内の洋食器ではトップメーカーです。
また、ノリタケ創業家の作った財閥(森村グループ)には、トイレ関連製品のTOTO、スパークプラグの日本特殊陶業(NGK)、電線の碍子(がいし)を作っている日本ガイシが含まれていまして、それぞれが国内トップのメーカーです。
グループ全体としては、世界最大のセラミック関連企業となっています。
なお、トイレ関係といえば、もう一つINAXという会社がありましたが、こちらも実は同じグループ会社でした。
ただINAXは現在、トステムが中心になって立ち上げたLIXILに合併したために、同グループから外れています。
まだまだ他にもあります。
ドライバーのベッセルとか、エアコン世界一のダイキンとか、楽器世界一のヤマハとか、ジッパー世界一のYKKとか、オイルシール世界一のNOKとか……。
オイルシールは身近じゃないかな?
でも今回はこのへんで。
学塾ヴィッセンブルク 朝倉智義